恋愛交渉成立-1
(ああ! ちょ ちょっとまって! や やっぱり元に戻して下さい。 住み込みでもなんでもします)
「とか言って元に戻ったら逃げるんじゃないの?」
(そんなことない、絶対に逃げませんから元に戻して下さい。)
「……ほんとうか?」
(ほんとうです。このまま一生先輩の頭の中にいるなんて耐えられない。元に戻して頂けるなら、なんでもします)
「…………イメージも奉仕する映像が流れてくる。 とてもじゃないが心にウソはつけないはず。」
(はい、元に戻して頂けるなら一生懸命努力します。
SEXでもなんでも命令された事をします。
貯金も差し上げますから元に戻して下さい。)
「え、じゃぁ僕と結婚してくれるんですね」
(結婚って! うぅぅはい 元に戻して頂けるなら望む通りにします。もし私がやらなかったら戻してもいいです。)
「ほんとうに 名前呼んだら返事するか?」
(絶対に絶対、返事します。私の心が読めるんですよね? ウソ言っていない事分かりますよね?)
「分かるよ 分かる イメージも伝わってるし、一度でいいから愛し合いたかったんだよ」
(え!じゃ〜元に戻して頂けるんですね。)
すごい!愛し合えるんだ!最高だよ!
「うん、元に戻すよ。 少し待っててよ」
(ぁありがとうございます。 一生奉仕します。よろしくお願いします)
僕は月岡さんの人形をペッと吐き出してから両手を上げて喜んだ。
「やった〜 本当に月岡さんが僕のものになるんだ〜」
僕はあまりにも嬉しくて部屋の中を走りまわった。
「おっとっと、いけね〜早速この人形をヒョウタンに入れて戻す呪文を唱えよう」
カランとヒョウタンの中に人形が落ちた。
「心から思っているんだから大丈夫! 返事もするって言ってたし」
ぼくは戻りの念仏を唱えて、こちらを見ている月岡さんに向けて唱えた。
「月岡由紀奈 戻れ!」
……
しかし5分間たっても何も起きない
「あれ?」まったく変わらない。
不思議に思いヒョウタンを覗いたら人形はそのままだった。
「あれ? 戻らない、間違えたかな?」
もう一度念仏を唱えて「月岡由紀奈 戻れ!」
でも、ヒョウタンの人形は元の体に戻らなかった。
2度、3度、何度戻る呪文を唱えても同じだ。
「どうしよう……固まったら戻らないのかよ」
僕はヒョウタンから人形を取り出し調べた。
「おかしい、呪文は間違っていないのに、
本当はヒョウタンからこうやって飛び出して、月岡さんの頭に入っていくはず、ああ!」
人形を持って月岡さんの頭に当てると、なんと人形が頭の中に飲み込まれていった。
その途端、彼女は頭をうなだれて動かなくなる。
「呪文もかけていないのに入っていっちゃった」
すると、うなだれた頭が持ち上がり目が開いた。
月岡さんは無言で自分の手を眺め体のあちこちを触りだし、
「ああ〜 私の体に戻った」
自分の体を抱きしめている。
戻ったようだ。
「よよよかったね。 目の輝きが違うよ」
「ああ〜 ありがとう!」
「うんどういたしまして、じゃあ早速だけどSEXしようか?」
と聞いたとたん月岡さんは目が泳ぎだす、
「え! あ、はい でも最初から全裸なんておかしくありませんか? 最初は服を着てから始めましょうよ」
「え、服? いいよすぐ脱ぐし、それより愛しあおうよ! ちゃんと愛してるって言い続けてよね」
ぼくは月岡さんの胸を鷲掴みしてチューをしようとしたら、すかさず彼女が押し返してきた。
「ちょちょっとまって、Hする行為がSEXだけではないのよ、
その前の恋人達の語らいから服を脱がすのがいいんじゃない」
「めんどくさいよ、そこを飛ばしてさ、愛してるとか、入れてとか、中で出してって言えばいいんだからさ」
後半あたりで顔が青くなっている
「ダメダメダメ! ね! ちゃんとしようよ 私が目覚めた一番最初の行為だよ」
月岡さんは細い手で僕の腕をつかみ真剣な目で訴えかけた。
「わ、わかった でも最初だけだぞぞ、こここれからはぼぼくの言う事を ききくんだからな」
「うん、わかったよ、元に戻してくれたんだもんね」天使のほほえみ……カワイイ〜〜
すると周りを見渡して「私の服はどこかな?」と聞いてきた。
「スーツはクローゼットの中で下着はリビングに転がっているよ」と教えてあげる。
月岡さんはクローゼットから紺色のリクルートスーツを持ってリビングに向かい、
僕もついていったら振り返りざま手で制止してきた。
「先輩はここ、着替えて待ってて下さい。私も用意したらノックします」
「え? ああ」
彼女のペースに載せられているような嫌な感じがした。
とはいえ僕もスーツに着替えてベットの上に座る。
「そうか、こんな感じなんだ恋人同士って、少しワクワクしてきた、最初何話そうかな……」
あの人形ままだったら絶対にない、この緊張感は新鮮だった。
「やっぱり元に戻して正解かもしれない、両親には何時挨拶にいこうかな?」
色々とこれからの事を想像していると
「カチャリ」っと音が聞こえた。
玄関のチェーンの音だと確信した。