享楽2-4
奈津子はそれを体内に納め、苦悶の表情を浮かべて耐えていたのだ。そんな状況の奈津子を岩井は繰り返し殴った。女の命ともいえる顔を。情け容赦のない行為に震撼とする。
バイブレーターの先を平然と鼻に近づけた。何と匂いを嗅いでいるのだ。眉をひそめると、いきなり奈津子の髪をわしづかみにした。上半身が弓形になる。
「きれいにしてこいといったはずだ」
「こ、これ以上……」
何かが爆発したような音が響き渡る。奈津子の頬に平手が炸裂したのだ。義雄の背筋に戦慄が走る。顔を押さえようとするが、岩井の方が早い。背後から二発目が飛ぶ。奈津子の全身が揺れる。もう一度振り上げたが、息をはいてその手を下ろした。
仁王のような顔で、ぐったりした奈津子を抱きあげ、ベッドから降り立つ。はだけた襦袢からはペニスがそそりたっている。それを揺らしながら義雄の視界から消えた。
奈津子を助けたい。このままでは暴力を振るわれ続け、大けがをする。飲まされた薬物とワインにより意識がもうろうとしているが、渾身の力を振り絞ってソファーから転げ落ちた。そのまま這おうとするが力が入らない。打ちつけた部分に痛みが走った。
もがいているうち、寝室に岩井が戻ってきた。出て行ったときと同じように、ぐったりした奈津子を抱いている。手にはバイブレーターを持っていた。抱いたままベッドにあがる岩井の口元に笑みがある。怒りは静まったようだ。シャンプーのボトルのようなものが奈津子の体の上に乗せてある。
未だ衰えぬペニス。硬度が増しているような気もする。凄まじい持続力である。
「何も出なかったのう。あれだけ張型を突っ込んでいれば奥の方から匂いが生まれるかもしれん。さ、四つん這いになりなさい」
暴力を振るわれた奈津子には非などない。何のためためらいもなく女性を殴る。
――この男は悪魔だ。
バイブレーターと透明のボトルを脇に置く。奈津子は指示に従い膝をつき、臀部を岩井に向けた。腰を持ち上げて四つん這いになると、背後で胡座を組む岩井は奈津子の背に手のひらを宛がった。強く押すと支えていた腕が崩れ、あごと肩がシーツに落ちる。上体をべたりと伏せる体位となった。
ワンピースをまくり上げた。部屋を出てからは下着は穿かせてもらえなかったのだ。丸く白い尻が岩井に突き出された。そこに視線をとどめ、大仰な身振りで襦袢を脱いでいった。ふんどし一枚の姿となる。脇から巨根がそそり立つ。
バイブレーターをつかんで先端をべろりとなめ、指で広げているそこに宛がうと奈津子の躰がこわばった。ねじるようにしながら――挿入していった。奈津子は声をあげず、大きく口を開けて深く呼吸した。
「田倉さんがよーく仕込んでおいてくれたから思った以上に楽だったぞ。顔だけでは分からんものだ。女とは恐ろしいのう」
そのまま回転させたり揺らしたりしても息を荒くしただけだ。岩井の言うとおり、経験済みであることは明らかであった。
岩井はベッドに転がっているスイッチを拾い上げた。スイッチを入れるやいなや、雑にそれを押し込んでいった。
「オォッ」
ガクンと首を反らし、初めて声をあげた。
「どこがいい。入り口か、回転する先っぽか」
笑いながらスイッチを切ると、硬直していた奈津子の体の力が抜けた。太ももだけは小刻みに震えている。
無造作にバイブレーターを引く。半分以上抜いて、再び挿入した。
「普通の男のマラより大きいものが、こんなにすんなり入る。田倉さんにどれだけ弄くられたのだ」
「いやー……」
小さな悲鳴をあげた奈津子の胯間から色のついた液体が飛沫した。岩井に怒りはなかった。濡れた手の甲のにおい嗅いでから、べろりと舐めた。