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王子の甘い罠
【女性向け 官能小説】

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「王子がフランスに帰る人だって知らなくて。
会えなくなるんだと思ったら、寂しくなって」
「それってさ。あんなセックスが出来なくなるからだろ?」

それでもまだこちらに視線を合わせようとしない。

「違うよ。目隠しとか。手を縛られるって女にとって
本当は凄く怖いのよ。信用してない相手とは出来ない」
「・・・・」
「晃だから。出来るんだよ」

王子というのをやめて。
名前を読んだら、ピクッと反応して
ゆっくりと私に視線を合わせた。

「王子王子って。誰でもいいような呼び方で呼びやがって」
「うん」
「俺以外とあんなセックスしたら絶対許さない」
「うん」

ほんの少し上気た顔が赤く見えるのはお店の間接照明のせいか。

「本気で好きなんだ。すみれさんが」
「ありがとう」

「もう少し時間があると思ってたらいきなり期限だから帰って来いと言われた」
「うん」
「帰ってから相談があると言ったのは
すみれさんがこっちにくる月の半分しか会えなくてもいいか、
遠距離恋愛のことを相談しようと思ってた。
でもその前に恋愛関係じゃないって拒絶されたけど・・・」
「うん。ごめん。遠距離の覚悟はない」
「―――っ!」

「あんなセックスをしてくれる男と半月も離れてられない」
「でも!」
「だから。出向の話に飛びついたわ」
「すみれさん」



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