拉致-3
「タオルを外しなさい」
「え?・・・でも・・・」
「お前は私に逆らうことは出来ないんだよ」
医師は手を後ろに組んで隠していた鞭を娘に示す。
娘は目を見張り、後ずさりした。
と、有無を言わせず医師が振った鞭が娘の体を捉えた。
「きゃああああ!」
さほど強く打ったわけではない、恐怖を与えるにはそれで充分だからだ、それでも娘はタオルを手放して床に倒れこんでしまう。
「よく聞いておくんだ、お前は私に金で買われた、お前は自分が世の中に存在を知られてはならないことぐらいは知っているだろう?」
それは確かに身に沁みて知っている・・・。
「お前には戸籍がない、この世の中に存在していないことになっているんだ、私がお前を殺してどこかに埋めてしまっても誰もお前を探さない、何故なら居ないはずの人間だからだ、そこらの野良猫と同じなんだよ」
娘の足元の床にムチを当てて大きな音を立てると娘は震え上がってしまう。
「隣の部屋に移るぞ」
脅える娘の腕を取って立たせ、隣の部屋に押し込んでドアを閉めて鍵をかけると、明かりをつける・・・娘は立ちすくんだ。
元々は病室だった部屋、四台のベッドを置ける広さがある中、十字架とギロチン板が目を奪う、よく見れば他にも拘束具のついた診察台や椅子が置かれ、天井には縄をかけるためのフックがいくつも下がっている・・・。
「十字架の前の台に立て」
十字架にはいくつもの枷が鎖で下がっていて、その前に立てばそれを巻かれるのは容易に想像がつく、娘が躊躇していると再び大きな鞭音。
嫌々ながら台に上がると手首を掴まれ、枷を巻かれそうになる・・・その瞬間を捉えて娘はドアに突進した。
ビシッ。
「ぎゃっ・・・・」
足首に鋭い痛みを覚え、バランスを失って床に転がった。
「逃げようとしても無駄だ、その錠前は鍵を使わないと内側からも開かない、ずいぶん長い時間車に乗せられただろう?ここはお前の村から遠く離れている、ここでは誰もお前のことなど知らない、例え逃げ出してもお前は世の中に存在しないはずの人間だ、誰もお前を助けたりしない、私の言いなりになるしかないんだよ」
今度は手加減しなかった、力いっぱい打ち下ろした鞭は娘の背中に蚯蚓腫れを作る。
それで心は折れた・・・。
両手を広げるようにして十字架にくくられると、医師は娘の体をしげしげと眺める。
まださほどの羞恥心が芽生えているわけではないが、どういうつもりで眺めているのかは判る・・・獣の交尾を目撃したことはあるし、一間しかない小屋で両親が夜中にこっそり交わっているのを薄目を開けて見たこともある。
医師は観察を終えると娘の膝に枷を巻いて横木に吊り上げた・・・M字開脚、いよいよ何をするつもりかはっきりしてきた。
だが医師はすぐに行為にかかろうとはぜず、娘の性器を眺め、指で触れ、舌で舐め上げる。
まだ子供で経験がないと言っても触られたり舐められたりすれば感じてしまう。
何故だか、感じてはいけないような気がして抵抗しても無駄なこと・・・。
「いや・・・・やめて・・・」
医師がペニスでワレメを撫でるようにし始めると、思わず声が出た。
「その願いは聞けないな・・・・」
医師がぐっと腰を入れてきた。
「ぎゃあああああああああああああああ」
股を切り裂かれたような激しい痛み・・・しかし医師は構わず腰を振って来る。
「痛いいいいいいいいいいいい・・・・止めてえええええ・・・・・・・・・・・・」
その懇願は聞き遂げられるはずもなく、医師は自分が満足するまで腰を振り続けた。
医師は嗚咽する娘の、まだ血を滴らせている性器に応急処置を施すと枷を解いて娘を十字架から下ろした。
まだ何かされるのでは?とうずくまって震える娘を見下ろしながら医師は言う。
「今日からお前は桃香だ」
「・・・私の名前は・・・」
「親がつけた名前なぞどうでも良い、お前は俺の玩具なんだ、俺が呼びたい名前で呼ぶ、桃香だ、判ったな?」
頷くより他はない。
「今日はもう何もしない、お前が寝る部屋は向うだ」
医師の後に続いて行くと、ベッドと作り付けの本棚、机だけの部屋・・・、元は執務と仮眠を取るための部屋だった場所だ。
「食事は朝昼晩と届く、そこだ・・・」
ポストのような横長の小さな孔・・・。
「掃除は自分でしろ、洗面所にバケツと雑巾がある」
「・・・はい・・・洗濯は・・・」
「その必要はない、お前に服は必要ないからな・・・明日また来る」
玄関に鍵をかけて出て行ってしまった・・・勿論内側から開ける術はない。
娘にできたのは泣きながら眠ることだけ・・・。
医師は新しい病棟に戻る道すがら、娘の服を詰めた袋を焼却炉に投げ込んだ。
そこには血や膿が付着したものが棄てられる、様々なウィルスも・・・焼却炉に火をつける前に中身を確認する者などいない、娘がここに連れて来られた痕跡はそれだけで綺麗に消えてしまう。
その日から丸五年、桃香と勝手に名づけられた娘は一歩も外に出ることなく、それどころか一切服を着ることなく、医師の玩具としての暮らしを送ることになる。
そして、玩具にされるというのはただ陵辱されるというだけの意味ではなかった。