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桃香(tousyan)
【調教 官能小説】

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拉致-1

「国の政策は知っているな?子供が二人いるようだが?」
 突然踏み込んで来た役人にそう切り出されて父親は言葉を失った。

 過剰な人口に悩むこの国では一人っ子政策が実施され、二人以上の子供を持つと罰金、もしくは課税が強化される、いきおい、農村部では妊娠した子供が女の子と判ると中絶してしまい、将来働き手として期待できる男の子ができるまで産まない事が多くなっている。
 しかし、この村のように猟や山菜取りで生計を立てている山村ではそれもままならない。充分な医療施設がなく、子供の性別など産まれてみるまで判らない、産まれた子供が女児だった場合は出生届を出さずに隠してしまうことが多々ある、そういった戸籍を持たない子供は教育や医療と言った行政サービスを受けることもできず、村から出ずに一生を過す運命にある。

 その娘も戸籍を持たない子供の一人、生まれてこのかた村を出る事もなく、山菜採りや家事の手伝いをするだけの日々を10年間送ってきた。
 役人が訪れることも滅多にない小さな山村、これまでは役人が来ると親戚の子供だと誤魔化したり、山に隠したりすることで何とか言い逃れてきたのだが・・・。
 しかし、今回に限っては日が暮れてからの急な捜索、山の中ゆえに夜には役人も来ないだろうと多寡をくくっていただけに娘を隠すこともできなかった。

「いいえ、これは親戚の子供で・・・」
「誤魔化そうとしてもダメだ、もうその手は二度使っているぞ」
「ですから親戚から預かっているんです」
「ではどこの子供だ?ちゃんと説明できるのか?」
 説明は付かない・・・親戚で子供のない家などないのだから・・・。
「説明できないようだな、では罰金となるが、金はあるのか?」
「・・・ございません・・・」
「新たに税金を課せられることになるが?」
「到底・・・無理です・・・」
「では、子供を連れて行く他はないな」
「お願いでございます・・・」
「そうは行かない、上からの命令に背く訳にはいかないのだ・・・安心しろ、ちゃんと育てられる」
「娘は・・・娘はどうなるのでしょう?」
「それはわからない、役所は義務を果たすだけなのでな・・・」

 ちゃんと育てられる、と言うのは、子供を連れ去られる親へのせめてもの方便・・・本当はどうなるのかを村役人は察していた。

「悪く思わないでくれ・・・これも役目なのだ」
 役人は娘に当て身を食らわせると有無を言わさず連れ去ってしまい、後には悲嘆にくれる母親、呆然とする父親、それとただならない雰囲気に泣き喚いている弟の三人が残された。

 山の麓まで降りてくると、県の役人が車の中で待っていた。
「ご苦労だったな」
 この捜索は県の役人の指示によるもの、連れて来る女児の年齢や容姿には細かい注文が付けられていた、おそらくは県役人より上の誰かが買おうとしているのだろう、その目的も見当がつく・・・。

 この村の住民は少数民族の流れを汲む者がほとんど、同じ民族である地方役人は、これまで届出のない女児を発見しても厳しく追及せずに見て見ぬふりを決め込んでいた、多数派民族が牛耳る国や県の言いなりにはなりたくはない・・・しかし、上からの命令とあっては・・・逆らえば処罰されるのは自分なのだ。
 複雑な思いを胸に村役人が見守る中、娘と県の役人を乗せた車は走り去って行った・・・。


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