い-3
「それは、すみれが悪いわ」
バッサリと真樹に斬られた。
「宮本君ってさ王子じゃない?」
真樹、日本語になってないよ。
「立場上、敵を作れないからね、あの対応なんでしょ。
誰にでも優しく、誰にでも笑顔で」
「・・・・」
「宮本君、入社2年目なのに良くやってると思うよ」
「そう」
今まで真樹の話の中に出てきても
どうでも良い相手として聞き流していた。
「宮本君も焦ったのかもね」
「・・・・」
「王子らしくない強引なアプローチだったものね」
王子らしいか、らしくないかは知らない。
けど、ここ数日かなり強引だったのは確か。
「で?どうするの?」
「うん・・・」
「好きなの?」
好きなの?改めてそう聞かれると。
思い出すのは優しい王子に抱きしめられた記憶がよみがえる。
セックスの時の王子の意地悪な激しさを思い出す。
「好きかもしれない」
「自覚するのが遅い!」
うん。そうだね。
「宮本君は初めから好きだって手の内を見せてるのよ」
うん。そうだね。
「すみれの過激なセックス願望、叶えてくれたんでしょう?」
え・・・それは違うような。
それは王子も楽しんでいたと思う・・・