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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 4.-14

 自分にも負い目があるから? いや、明彦と不義を交わしていたとて、有紗の方がずっと早く妹を裏切っていた。妹と続けさせておいて、セックスフレンドとして直樹と繋がっていようとしていたのだから、よほど罪深い筈だ。しかし愛美は有紗を憎むことはできないと言ってくれる。何故だろう? しかし理由を聞く前から、有紗はその事実に胸が締め付けられて、感涙を懸命に押しとどめていた。
「次に会った時に直くんに聞いてみたの。……私より前に付き合った人いる? って」
「……うん」
「いるよ、って教えてくれた。まだ茨城に居た頃に、付き合った人がいたって。フラれたって。……どんな人だったかいっぱい聞いた」
「……」
「それ聞いて、おねえちゃんだって分かったんだ。おねえちゃん、直くんのことがずっと好きだったんだなって。……じゃなきゃ、おねえちゃんがさ……、私の彼氏、取るはずないよね?」
 有紗は耐えられなくなって俯くと、涙が愛美の体へ何粒も落ちていった。ずっと身が引き千切れる思いをしながらも続けずにはいられなかった罪に走った心情を、誰であろう、妹は理解してくれた。
「愛美……」
「……ん?」
「ごめんね」
「おねえちゃんは、悪くないよ」
 愛美が肩に置いていた手を俯いた有紗に巡らせて抱きついてきた。やっと口から出た謝罪を、愛美は一言で許してくれた。「私が、直くんなんか好きになっちゃったから、おねえちゃん、苦しめちゃった……」
 そのまま有紗は暫く泣いた。有紗の哀泣が治まってくるまで、ずっと愛美は体に巻きつき、背や髪を撫でてくれた。いつもと立場が逆だ。有紗はたった一人の妹の腕の中で、涙粒に染み込んでいる哀しみが全て浄化されていく心地よさに、なかなか涙が止まらなかった。
「――おねえちゃん」
 愛美が呼びかけてきた。マスカラの落ちたボロボロの顔が愛美の眼の中に映って、その酷さに泣き笑いになった。「直くん、返すね」
「……。……そのかわり?」
「森さん、ちょうだい?」
 そう言って二人で同時にふき出した。
「……ひっどい姉妹だ、私たち」
「だね。彼氏の交換」
 有紗はひとしきり笑ったあと、ふうっ、と息をついて目を伏せた。
「直樹、納得するかなぁ……」
「付き合ってる子に浮気されたんだもん、きっと私のことヤになって、お姉ちゃんに走るよ」
「……直樹、そういうのも全部自分のせいだ、って思うもん」
「おっ、さっすがぁ、私なんかより直くんのことずっと分かってるね?」
 こんな時なのに、愛美は人生で初めて姉をからかうことができたことを嬉しがったあと、「私が、言うよ。ぜんぶ。おねえちゃんを苦しめたから、ちゃんと私が何とかする」




 信也は有紗に深々と押し入ると、潤いのない襞壁へ先端から噴いた粘液を擦りつけつつ、忙しなく律動を開始した。
「うおっ……、有紗ぁっ、どうした。……お、お父さんのおちんちんだぞぉっ!」
 中が乾いていることに気づいたのだろう。自身がこんなにも欲情しているのに、有紗がまだ淫らになっていないから憤慨したのか、ブラウスのボタンを外し始めるも途中で堪え切れなくなり、袷から手を差し入れて強引にブラを押し上げ、顔をのぞかせた乳首にしゃぶりついてきた。
「んっ……」
 陵辱感が横溢する。だが叔父の猛威は有紗を挫けさせなかった。男茎を凪いだ体に埋め、のしかかって胸乳に吸い付いている信也が憐れに見えてくる。
 最早叔父は張型にすら劣った。今の信也の男茎ならば、愛美のベッドで埋めていたディルドのほうがよほど淫情をかき立ててくれた。
 ――一度味わった絶頂が引いて行く中、甘い痺れに懈ゆといつつ電話に耳をすましていると、有紗との関係を全て知っていること、しかし自分は恨んではいないこと、自分と出会う前から姉と出会い好き合っていたのだから、悪いのは自分かもしれないということ、淡々と話す愛美の話を、直樹は黙って聞いていた。
(んっ……、な、直樹っ……)
 有紗はディルドを再び緩やかに抽送し始めた。何故黙って聞いているのか。直樹が別れたがっていた相手が理解を示してくれているのだ。今さら罪の意識に苛まれているのだろうか。もう決着している。直樹ができることはひとつしかない。
 お前を葬るのは却下。
 自慰を再開した有紗へ、彼は相変わらず慈悲を湛えていた。
 ……なんで?
 虚ろな瞳を開いて天井を見た。ディルドを引くと深く刻まれた鰓が襞壁を擦り、焦燥に通り道を収縮させると更に快美が爆ぜる。
「はんっ……」
 入口付近まで引いてから一気に押し入れる。媚肉に気泡が弾ねる淫らな音とともに、鼻息混じりの嬌声が漏れた。どちらも電話の向こうに聞こえてしまったかもしれない。
 なんで、って俺が何者か知ってるだろ? お前を屠ったら楽しみが無くなっちまう。
 わたし、そんなに楽しい?
 だから楽しいって。愚劣で。言っただろ?
 やおら身を起こした有紗は、携帯を耳に当てたまま壁に凭れて座ると、膝を立てていっぱいに開き、ディルドを奥まで押し込んだ。
「……もしもし」


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