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忘れ得ぬ夢〜浅葱色の恋物語〜
【女性向け 官能小説】

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半世紀の時を経て-6

 息子が言っておりました。とても素敵なおばあさまだったと。ご主人によく似ていらっしゃる青い目の息子さんは明るく、立派に二代目として店を継いでいらっしゃるようですね。お二人が仲良くアトリエ(お菓子屋の厨房をこう呼ぶことを初めて知りました)で仕事をしていらっしゃる姿を見て、とても微笑ましく思った、と申しておりました。お孫さんもいらっしゃるとか。若くフレッシュな男性が忙しく店内を動き回っておられたのがとても印象的だったそうです。
 僕は息子から貴店の『アーモンド入りチョコレート』の話を聞いて、涙が出るほど嬉しくなりました。なんでも貴女とご主人がご自分のお店を持たれて最初に開発されたオリジナルのチョコレートだとか。貴女が無事に愛する彼と一緒になり、生涯を共にすると誓った証なのだ、と思い、僕の罪が赦されたのだ、と勝手に解釈して感激したのです。息子が買って帰ったそのチョコレートを口に入れた途端、僕は図らずも実際に涙が止まらなくなり、息子にひどく心配されてしまいました。

 貴女の貴重な時間を奪い、こんなだらだらと長くとりとめもない、独りよがりな老人の駄文におつき合いいただいたこと、心より感謝します。

 どうか『彼の手を永遠に離さないで』という部分だけを残して、僕の言葉は僕の存在と共に貴女の中から消し去って下さい。


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