中年探偵銀次〜残された暗号A〜-2
「ちょっとまて!誰がそいつを犯人だといったんだ…」
正彦はその言葉に驚きを隠せなかった。いや、正彦だけでなくその場にいた全員が驚いた様子であった。
「ど、どうゆうことだ!?ダイイングメッセージに‘AKIRA’と出てきたじゃないか?」
その言葉が出てくるのがわかったかのように、銀次が答える。
「確かに、ダイイングメッセージにはそのように出てきたかもしれない。しかしよく考えてみろ。被害者の利き手を…そして、メッセージを書いた手を…」
その言葉に正彦は、何かを思い出した様である。
「被害者の利き手は、左だ…しかし書いていた手は右…」
銀次は、そのとうりと言わんばかりの笑みをうかべながら、それに言葉を続けた。
「そう、普通なら利き手である、左で書くはずなんだ。明らかに右で書いたのは不自然だ。」
その言葉に間を入れずに、正彦が答える。
「ってことは、犯人は…」
全員が松本勇の方を見る。その目はお前がやったのかと言わんばかりのめである。
松本勇は、その目に気付き、大声で発言する。
「ふ、ふざけるな!そんな理由で俺を犯人にしやがって!ただ単に、左手が痛くて動かせなかっただけだろ!」
この言葉に銀次は動じることなく、さらに勇を攻め立てる。
「ふっ、そもそも全身をズタボロに刺された人間に文字が書けると思うか?」
どんどんと勇の体は、汗ばんでいく。しかし、自分は犯人にでは無いと主張する。
「そ、それは…あれだ、さ、最後の力を振り絞って…」
「最後に振り絞ったちからで暗号みたいなのを書くのか?」
銀次の攻め立てに勇は、全く持って反撃にもならない、言葉を発する。
「そ、それは…知るわけない!お、俺はアイツじゃないんだ!アイツの考えることなんて…そうだ!みんなこの探偵の単なる予想じゃないか!ふざけるな!」
銀次は遂にこの時がきたと思い、最後の切り札をきった。
「じゃあ、何で被害者が背中から襲ったのを知ってたんだ?」
「な、あ、あれは…け、警官がいってたんだ…そうだ!警官がいったんだ!」
銀次はこれで終わりだと言わんばかりに声を張り上げる。
「ついにボロを出したな!そんなの警官がしるわけない。そんな情報は一切きてないんだからな!背中からなんてのは犯人にしかわからないんだ!わかるか!?お前が犯人だ!松本勇!」
普段、冷静さから一転強くものをいう銀次に周りはどよめき、そして銀次の目線の先にある、殺人者に目をやった。
「く、くそ…何で…ばれたんだ…俺の計画は…完璧だったはずなのに…」
犯人が負けを認めた瞬間であった。しかし、負けを認めながらも勇は銀次を指さしながら叫んだ。