の-6
「で、脅されて」
「王子が脅したの?」
エセ王子は部ではしっかり仮面をかぶり続けているらしい。
「そ。あんたんトコの王子が脅迫したのよ」
「なんて?」
「この本と同じ事をしませんか?って」
「・・・・」
「それってすみれが攻める方?
すみれのSはSMのS。
宮本王子のMはSMのM・・・?」
「真樹!私の話聞いてた?逆よ!逆!」
あ、ぁ。とうなづいたけど
どう考えても、真樹は王子が私に攻められると思ってるな。
「あのね!王子はね、エセよ。あれは正真正銘のSなのよ!」
「・・・・」
そんな私の言葉が信じられないような顔で
私の事をじっと見つめる。
「すみれさん、僕がエセだってばらしちゃだめですよ」
笑い声と一緒に王子登場。
何が「僕」よ。
「宮本君」
嘘でしょう?という願望とともに真樹が王子を見つめた。
「ごめんなさい。山口さん。僕は正真正銘のSなんですって」
だから、僕ってやめなさいよ。
「でも安心してください。僕がSになるのはすみれさんの前だけです。ね?」
と王子のほほ笑みで私を見つめる。
「・・・どうでも良いけど。何か用?」
「冷たいな。昨日のベッドの中とは別人だ」
あんたもね!
「今日も一緒に帰りませんか?」
そう言って耳たぶを噛んだ。
「真樹!広報はどうなってんの!」
「今・・・忙しくないの」
真樹は目の前の王子の行動が信じられないらしい。
「ということで、海外にお迎えに行きますから」
そう言って少しだけ悪魔の顔になった王子がニヤッと笑った。