おそとでエッチ-7
ユウが声をひそめながら、美山たちの方を指さす。
雲の切れ間からのぞく月明かりの下。
いつのまにか互いの手を握り合っていたふたりが、どちらからともなく顔を寄せて唇を重ねようとしていた。
一度目は、そっと触れただけですぐに離れた。
二度目はもう少し長く。
三度目からは目を閉じた奈美の手が美山の首にまわされ、大人の口づけが始まった。
ふたりとも服を脱いでいるわけでもないし、あの部分を触り合っているわけでもない。
なのになんだか、すごくいやらしいものを見ている気がした。
セックスには続かない、ただのキス。
それがこんなにも官能的なものであるということを、桃子は初めて知った。
美山たちに影響されたのか、唐突にキスがしたくなってくる。
ユウも同じ気持ちなのか、しきりに耳や頬に唇をつけてきた。
くすぐったい。
あのふたりに張り合おうとしているようで、また可愛らしく思えてくる。
「こっち向いて……桃子」
「だめ、ここでは嫌」
「ええ? キスだけなのに」
「だって、いまキスしたらエッチしたくなっちゃうもん。だめ」
「それは……僕だって、そうだけど」
しょんぼりして肩を落とすユウの耳に、桃子は小さく笑いながら囁いた。
まるで大切な秘密を打ち明けるように。
「だめって言われたからってすぐ諦めないでよ。どうしても自分がしたいときは、力づくでやっちゃえばいいんだから」
「え、でも」
「たまには強引にされたいときもあるってこと。ユウになら何されたっていいもん……こんなところでユウに押し倒されたらすぐに濡れちゃいそう」
全部を言い終わらないうちに、顎を強くつかまれ顔を横に向けられた。
後ろにいるユウが背中にのしかかるようにして唇を押し付けてくる。
それと同時にTシャツの裾から潜り込んできたユウの手が、せわしなく桃子の胸元を揉んだ。
荒々しい手つき。
いつになく積極的なユウにドキドキする。
「あっ、ちょっと……キスだけじゃないの?」
「桃子が変なこと言うからだろ。もう我慢できない」
ブラジャーを押し上げられ、熱い手のひらに乳房が包み込まれていく。
指の間にきつく挟まれた胸の先が、じん、と痺れた。
「あっ……」
「桃子の乳首、もうこんなに硬くなってる。もしかして、触って欲しかった?」
「ち、違うもん……あ、やっ……」
「そんな声出したら、奈美さんたちに聞こえるよ。我慢しなきゃ」
声を我慢しろというくせに、乳頭を擦り立てるのを止めようとしない。
そこが桃子の弱いところだと知っているのに。
ぎゅうっと引っ張ったり、乳房の中に押し込んだりされるたびに、敏感な突起がじくじくと疼き、脚の間に熱い粘液が染み出してくる感覚があった。
美山たちのキスはまだ続いている。
肩より下にはほとんど触れ合うこともなく。
それだけで満たされたような表情をしている奈美に、なんだか負けたような気がした。
純粋な彼女に比べて、自分はなんと不埒なことをしているのだろう。
こっそりと隠れて友人のキスをのぞき見ながら、こんなにも興奮して濡れているなんて。
耳元で聞こえるユウの呼吸が速まっていく。
胸を愛撫しながら、もう片方の手をスカートの中に差し入れてくる。
拒む気にはなれない。
立て膝になり、そっと脚を開いて迎え入れた。
下着の上からまさぐられた陰部が、くちゅくちゅとあのいやらしい音を立てている。
「あん……んっ……ユ、ユウ……」
下半身が甘く痺れ、腰が震える。
尻に熱く隆起したユウの股間が当たっている。
もう欲しい。
いますぐ欲しい。
貪欲すぎる自分に呆れる。
でも、体の奥底から突き上げてくるようなこの欲求に勝てる人間などいるとは思えない。
少なくとも、桃子の精神力はそれほど強くない。
「だから声出しちゃダメだって。すごいね、まだ少ししか触ってないのに……桃子のあそこ、ビショビショになってる」
「わ、わざと意地悪……言わないで……もう……」
内緒話をするような音量で交わされる囁きにさえも、さわさわと耳を愛撫されているようだった。
気持ちいい。
いま、何をされても感じてしまう。
「今日の桃子、いつもよりもっと可愛く見えるね。なんだろう、声を我慢してる顔がいいのかなあ……もっと困らせてやりたくなる」
「いつもよりって、それどういう意味……あ、だめ……」
濡れたパンティを押しのけるようにして、指先が割れ目をなぞり上げていく。
肌を震わせる快感の粒がふつふつとわきあがり、下半身がビクビクと痙攣する。
あからさまに反応して見せることもできない場所で、強引に触られていくことに体が昂ぶっていく。