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〈生贄の肉・二つ〉
【鬼畜 官能小説】

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〈無垢なる願い〉-3

「んぐッ……玲奈…さん…ッ!!」


まだ満足に動かせない身体を引き摺るようにして、奈々未は玲奈の下(もと)に這っていった。

なんとしても守らねば……その一心のみで、必死に両手を伸ばして床を掴み、蹴って進む……。


『へえ〜、さすがシスターだぜ。我が身を楯にってかあ?俺、涙が出そうだぜ』

『格好良いじゃねえかよぉ。生まれたての子ヤギみてえに、手足プルプルさせやがって』

『ギャハハハ!笑わせんなよ馬鹿ッ。せっかくのお涙頂戴シーンが腹痛くて見れねえじゃねえか』


人の心を持たぬ者からすれば、奈々未の行動は可笑しくて笑えるものなのだろう。
その嘲りに満ちた笑い声を浴びながらも、覆い被さる奈々未の温もりに玲奈は手を伸ばし、修道着をギュッと握ってしっかりと抱き着いた。


「大…丈夫ですよ、玲奈さん……私が、私が傍に居りますから……」

「な…奈々未さん……離さないで……私を離さないで……」


奈々未の腕の中に包まれた玲奈の顔は、まるで子供のように怯えていた。
瞳は涙に潤み、眉毛は垂れ、唇はへの字に歪んで今にも叫び出しそう。

そんな玲奈の心の支えになろうと、奈々未は自分の恐怖心を圧し殺して気丈に振る舞い、微笑みさえも浮かべて見せた。


「必ず無事にここから出られます……信じれば叶いますから……」


ようやく手足の痺れは取れ始め、奈々未は玲奈を抱き竦めながらゆっくりと立ち上がった。

部屋の入り口は一つしかなく、その周りには作業着を着た“あの男達”が屯している。
例え身体の状態が万全であっても、突破するのは不可能だ。

奈々未は玲奈をしっかり抱き締めながら、部屋の隅へと陣取った……もはや自分が玲奈の防波堤となって守る以外にない……逃走への道筋は、既に断たれたと言ってよかった……。


『お待ちしておりました。どうぞどうぞ』

『うほぉ!美人シスターに玲奈ちゃんではないかぁ!』

『今晩はぁ。こうして会えるのを楽しみに待ってましたよぉ?』

「ッ〜〜!!!」


スーツ姿の脂ぎったオヤジ達がぞろぞろと部屋に入ってきた瞬間に、奈々未は万策尽きた……自分達を欲情に塗れた瞳で見てくる男の数は10人を超え、部屋の中の人口密度は一気に高まった。
この圧倒的な数の差は如何ともし難く、例え奈々未が成人男性だったとしても、逃走成功の確率は奇跡的な数値にしかなるまい。




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