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〈生贄の肉・二つ〉
【鬼畜 官能小説】

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〈無垢なる願い〉-10

「早くお帰りなさい……玲奈さん、振り返ったら駄目ですからね?」


人身御供となる奈々未の姿は、周りを囲むオヤジ達と、カメラを抱えた部下が作り出す壁に消えた……。


なんとしても助けたい……。


その願いは、この部屋に止まっていては叶わない事は、悲しいが事実であった……。


「ごめんなさい…ッ!!」


玲奈は奈々未を取り囲む人垣に背を向けて、脱兎の如く駆けた……道を開ける部下達の横を擦り抜け、分厚い扉の間を駆け抜けた……。


(奈々未さん、待ってて……必ず…必ず助けるから…ッ!!)


今の玲奈に出来る事は、一刻も早くこの建物から脱し、警察に通報する事だけだった。
それしか、奈々未を救う手立ては無いのだから。


(お願いッ…助けに来るまで無事でいて……)


自らの貞操を身代わりに、自分の未来を守ろうとした奈々未の行動は、紛れもなく“聖人の振る舞い”であった。

暴力に怯え、恐怖に泣き叫んでしまった自分には、あんな真似は出来ない……。

やはり奈々未は玲奈の憧れの人であり、尊敬し、目指すべき〈人物〉だと改めて強く確信した。



玲奈は駆けた。


扉を抜けた先の、長い廊下の向こうの真正面にあるエレベーターは、直ぐそこにある。

何の迷いもなくボタンを押す……その伸ばされた右腕は、突然に強い握力に押さえられた……。


「な…ッ!?」


慌てていて気付かなかったが、エレベーターの扉の前は左右に廊下が伸びており、T字路の形になっていたのだ。

右腕を掴まれて狼狽えた玲奈が見回した先には、数人の男の姿が……その左右に伸びた廊下に隠れていた、作業着を着た部下達の姿が映っていた……。


「なによ離してッ!!私…私は家に帰るんだから…ッ!!」


必死に腕を振り、掴んでくる手を振り払おうとするも、今度は左腕までも掴まれてしまう。
これは全く予想だにしていない展開である。



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