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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 3.-6

「そうだね、直樹が女子高生好きの危ないヤツになっちゃったら、ヤバいもん。じゃ、どういうのが好き? どうやってヤリたい?」
 すると直樹が腕の中に抱いたまま、有紗の顔を上げさせてきた。間近から澄んだ目で見つめられ、虚勢が打ち消されて息を呑む。
「二人で会ってる時は、付き合ってる風にしたい」
「……なに、……それ」
 胸が痛い。甘く痛い。
「セフレだ、とか言わないで欲しい。せっかく二人で会ってるんだもん」
「だって、本当のことだし、だいたい直樹も私も――」
「大好きだよ、有紗さん」
 直樹の言葉に制された。「……愛してる。誰よりも大好きだ」
 ゾッと背中を爽感が走り抜けて脳天まで突き抜けてきた。至近に顔を覗き込まれているのに涙が溢れてしまった。
「……直樹」
「ん……?」
 有紗は胸を膨らませて荒くなった息に塗れて、
「私の顔、見ないでね?」
 直樹の手を外して髪を垂らし、俯いた。
「……どうして?」
「いいから」
 有紗は正面から直樹に身を寄せると、背伸びをして、彼の男茎をスカートの中へ導き、履いたばかりのショーツをズラして彼の言葉にまた濡れてしまった秘門へ亀頭を構えた。
「あ、有紗さん、ゴム……」
「いいの。やっぱり、したい」
 体を沈めていくと直樹の男茎が真下からずぶずぶと入ってきた。鼻声を上げながら首にしがみついて腰を揺らす。自分は今どんな顔をしているだろう。ただ愛しみにのみに満たされた顔ではないはずだ。明日はこの体は自分のものではない。そう思うと彼の男茎を、淫らにヌメる自分の中でもっと慄かせてやりたくなる。
「うあっ……、あ、有紗さん。また……、もうダメだよ……」
「いい、出してっ……、な、直樹、お願い、さっきの、もう一回言って……!」
「う、あっ、あ、有紗さんっ、愛してるよ……」
「……、っ……、くっ……、誰よりも?」
「……だ、誰よりも、大好きだよ。有紗さんが大好きだ……」
 言うや否や亀頭から夥しい精を噴出してしまった直樹には聞こえなかっただろう。コレは私の、と有紗は彼の肩に唇を押し当てて叫んでいた。明日愛美に会って、あの子と何があっても、今言った言葉を直樹が忘れてしまわないように、熱くなった蜜壺で強く絞りながら。




 浜松町の高層ビルにある展望台から夜景を眺めていたら、明彦に抱き寄せられ唇を奪われた。奪われたとしか言いようがない。ここから見える夜景はギラギラと明るすぎて有紗の心は潤ってこなかったから、どれだけ周囲のカップルが身を寄せ合い、肩に回した手で隠して唇をはんでいても、明彦の唇が近づいてきた時には一瞬顎を引く仕草を見せてしまった。なのに、それを追い詰めるように唇を塞がれた。
「……いま、地味によけた?」
「びっくりしただけです」
 苦笑する明彦から視線を逸らして外を向いた。不動前は途中に林立するビルに遮られて見えない。無数に煌めく灯りのどれでもない、ベッドの移香を消臭スプレーで消隠し、長い髪が落ちていないよう念入りに確かめた上で、保険として暗くした部屋の中で……、今ごろ妹は、手放しに受け止めることができる彼の愛しみに包まれているのかもしれない。思えば思うほどやり切れなくて、有紗は明彦に手を添えられた体へ媚びるように軽くぶつかった。
「――キス、やりなおしますか?」
「やりなおしするなら、俺の家でじゃだめ?」
 明彦の申し出に、有紗はアルカイクな微笑みで頷く。
「今日さ、遅くなるって、前原部長には言ってある?」
「……言ってます」
 妹を振り払おうとしている時に、愁事を上乗せされて有紗は眉を顰めた。あの下卑た男の肖像が、有紗の汚水が流れ着いた溜池のような澱みへ、底から起こる臭気で立つ軟泥のあぶくにも似た嘔気をこみ上げさせる。
「ムード満点な場所に連れてきてもらってるのに、こんなこと言っちゃったら、怒られるかもしれないですけど」
 有紗は明彦を見ずに口を開いた。
「なに?」
「――今日は、この前みたいに、お尻ではできませんよ?」
 そう言うと夜景に映る明彦の黒目が、周囲の耳を気にして左右に忙しなく動いた。だが有紗は声のトーンを特別変えずに、「あまりすると、広がっちゃいそうでイヤなんです。……明彦さんのだと、広がりそう。……もちろん、あそこも怖いからダメです」
 有紗は泡を全て破裂させた毒気を吐き出して明彦を向いた。「それでも家に誘いますか?」
 暫し絶句していた明彦だったが、
「……、……そ、そりゃ、誘うよ。そんなんでさ、有紗ちゃんを……」
「わかりました。行きます」
 答えるのを遮って返事をした。もちろん、ここで帰ろうなどと言おうものなら、この前早々に果ておおせた魅惑の窄まりを期待していたと取られることになるから、明彦はプライドに賭けて避けるだろうと践んでいた。だから、タクシーで行こうと言うのを断って乗った山手線でも、有紗が引きずりだした下心を誤魔化そうと、手を握った指の先が軽く甲を擦ってくる。それでもドアのガラスに薄っすらと映った明彦の顔には残念の色が隠しきれていなくて、今日も自分と繋がりたかった願望が丸分かりだった。


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