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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 3.-19

 これまでも叔父が海外出張で長く不在となる時が有紗にとって最も平穏な日々だった。だが今回の不在は人生で最も麗しい時間だ。明彦が寂しく思わぬよう、叔父の禁を破って相手をしてやるのが面倒だったが、それは愛美が直樹と会う日、つまり有紗は会えない日に宛てていた。二人のことを思うと、認めたくないのに巻き起こってくる感情を紛らわせるのに、股間を預けて悶える明彦の愚劣な姿はうってつけだったのだ。
 そして愛美が直樹と会わない日は必ず直樹の家に行った。生理がやってきても彼の精を手と口で吸い取るために赴き、優しく扱ってくれる彼の匂いに触れているだけで鈍痛は吹き飛び、生理で辛いのにしなくていいと気遣う直樹を押しのけて何度も彼から愛しみの印を搾り取ると体中に悦楽が巻き起こった。手と口でしか味わえずに我慢を強いられた生理が終わると、有紗は直樹をラブホテルに誘った。いつも過ごしている直樹の部屋ではなく、広いベッド、広い浴室があるホテルでのびのびと過ごしたかったのだ。
 目黒のホテルで直樹をベッドに座らせ、正面から跨る。肩に両手を乗せると腰を持って引き寄せられた。
「……今日ね、帰んなくていい」
「え……」
 叔母には会社の友達の家に泊まる、と言った。同じリビングでそれを聞いていた愛美が、明彦の存在をはっと思い出して、いいじゃん行っといでよ、と下手くそな援護射撃をする姿を見てチクリと罪悪感の棘が胸に刺さった。しかしこんなチャンスは滅多に無いのだから許してほしいと軽く心の中で理屈付けができた自分に戦慄を憶えてでもこの夜の魅力には勝てなかったし、深く考えると気が狂いそうだったからしなかった。
「そんでね」
 有紗は直樹に唇を軽く当て、上下を軽くはんだあと、彼の頭を肩の中に抱きしめて、「今日から、ゴムつけなくていいんだよ」
 ピルを飲み始めたからだ。これまでもまだダメだと分かっていても有紗の方が我慢できなくなって、うやむやのうちに直樹の射精を直接子宮に浴びせてもらっていた。だがこれからは、本当にもう何も気にしなくてよくなったのだ。
「で、でも……」
「うるさいな」
 有紗は悪戯っぽく笑って、直樹の頬を両手で覆って黙らせた。「ぜんぶ直樹のためなんだから、直樹もよろこんで?」
 直樹の激情の向かうまま朝まで荒々しく抱かれるのだと思っていた。あるいは、直樹が泣いてしまうほど、有紗が彼を焦らしぬくのかもしれないとも想像していた。だが直樹は有紗を抱き寄せて、優しい手遣いで体じゅうをまさぐり、体じゅうにキスをしてくれた。擦れる肌身が汗で蒸れかえるまでベッドで交わり、直樹の精をたっぷりと体の中に注いでもらった。バスルームに向かう時も、バスルームに入ってからも、ベッドに戻るときも直樹から離れなかったし、直樹も離してくれなかった。そして朝までに耳に何度届いたことだろう。直樹はずっと「愛してる」と言ってくれた。途中から有紗は泣き出していた。情熱的に貪り合うわけでも、淫奔に虐めるわけでもない、抱き合って彼の手の中に包まれると愉楽の中に懈ゆとうて、溶けてしまいそうな浮遊感のうちに気がつけば彼が入ってきていて、手を伸ばして抱きしめれば彼の存在を確かに確認できた。いつ手を伸ばしても、いつ首を上げて唇を誘っても、直樹はすぐに応えてくれた。
「……こういうふうにしたかったんだ」
 どういう風にヤリたい? 恥ずかしさも罪の意識も誤魔化すために度々有紗が問うていたその答えを、直樹の男茎に奥の軟蓋を押し上げられて聞いた瞬間、魂までも融け落ちる絶頂に達していた。誇張などではなく、気づけば朝になっていた、夢のような一夜だった。
 だからこそ、叔父が帰ってくる土曜、もう一度直樹に会いたいのに、愛美が一緒に出かけると聞いた落胆は凄まじかった。とても一人で家で待っていられない。朝から愛美が出かけた後、洋子に言ってベンツの鍵を借りた。運転しているところを見たことがない洋子は当然の如く心配したが、森さんに会うの、と言うと、ミッドタウンで見たあの立派な青年に恋人として会いに行こうとする娘に乙女心が刺激されたのか承知してくれた。叔母に言ったら、明彦に会ったことが叔父に知れるだろう。だが今までがそうであったように、どうせ信也は帰国したらすぐに有紗に襲いかかってくる。有紗にとっては同じことだった。
 とはいえ、自分でもここまで運転できないとは思ってもみなかった。新大橋通りをまだ一キロも走っていない。もっと都心に入れば難易度は格段に上がるだろう。
「……じゃ、代わろっか」
「でも……、この車、家族しか保険効かないって言われてます……」
「事故らないように気をつける。んで、ここで代わらなきゃ確実に事故る」
 明彦が笑って車を降りると、運転席に回ってコンコンとガラスを叩いてきたから、渋々有紗は車を降りた。
「……でもさ」
 明彦がゆっくりとベンツを発進させる。「その実力で、なんで車で出かけたかったの?」
「できると思ったんですっ。……、……明彦さん、車運転できるんですね」
「ま、持ってないけどね。たまに営業車とか運転しなきゃなんないし、接待ゴルフだと、客をゴルフ場まで連れてかなきゃなんないからね……。しかしやっぱデカいね、ベンツのこのクラスだと。これ、いくらなんでも有紗ちゃんにはムリだよ」


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