笛の音 3.-15
「うっ……、へ、平気なのかよっ……、あ、有紗さんは」
「……な、なにが……?」
コクンと涎を飲み込んで顔を上げたが、充血した目で直樹に見上げられていると、頭を振って邪魔な髪を後ろに払い、もう一度彼の唇に吸い付きにいっていた。
「はっ……、う、……お、俺が、他の子に、そんなことされても」
「へ、平気……、だよ?」
「そんなっ……、ひどいよっ……」
直樹の辛い顔を見た有紗は、もう一度唾を飲み込もうとして咽せた。それほど息咳いていた。直樹に跨ったまま身を起こし、彼の脚の上を後ずさりしていく。
「……へいき」
有紗は直樹の股間に覆いかぶさり、慌ただしくジーンズの前を開け始めた。「……私が先にするんだもん」
「う、ちょ……」
手で避けようとしたが、有紗が爪を立てて絶対的な意志を伝えると、それ以上の反抗はしてこなかった。ジッパーを下ろしていっぱいに広げ、荒々しくブリーフと一緒に下ろしていく。勃起が揺れながら姿を現し、その根元で陰嚢がゆっくりと息をするように動いていた。身を屈める。顔のすぐ前に直樹の男茎が屹立していた。法悦の鼻息を吹きかけながら、聖き男茎の機嫌を伺うかのごとく一本指で裏側に走っている筋をなぞりあげた。
「んぁっ……!!」
直樹の声が甘くなる。有紗はもっとよく見たくて男茎のすぐ近くまで顔を寄せ、もう一度なぞった。「うあ、はっ……!」
長い脚が内股になって悶える姿が可愛らしい。男茎を弄られて直樹もまた子供になった。だが有紗は、直樹に対しては幼児だろうが女色だろうが、何でもいいから自分の手で思い切り性楽に浸らせてやりたかった。太ももまで下ろしていたジーンズと下着を足首まで引き下ろしていく。本当に子供の世話をしているようだ。ベッドの上に腰を下ろして靴下も脱がしてやっていると、ヒップをシーツに付いているから、後ろまで蜜が及んでいるのが狭間に張り付くショーツの感触で分かった。タイトスカートの内側まで汚してしまいかねないが仕方ない。
「直樹、脚開いて」
「うっ……」
有紗が膝に手を添えて左右に割ろうとしても動かなかった。
「……なー、おき?」
子供をあやすようにな声で呼びかけられたのに、薄目を開いて目が合った有紗の貌は妖しい嘲笑を浮かべていたから、直樹は顔を赤くして押し黙った。
「どうしたの?」
「は、恥ずかしいよ……」
有紗はクスッと息を漏らして、
「いいじゃん、カッコつけなくたって。……っていうか、私もいつもこうやって直樹に脚開かされてるんだよ?」
丸出しになった下半身で脈動している男茎の先から透明の汁が漏れ始めて、Tシャツの上に糸を垂らしている。早く触りたい。有紗は再度膝の裏に力を込めると、今度はさしたる抵抗なく直樹の脚が開いていった。なんて綺麗な股間をしているのだろうとウットリとなる。あの野獣とも、情けない巨根男とも違う、彼のソコはこれだけ猛々しい勃起をしているのに、清々として有紗を魅了してくる。
「よく見えるよ、直樹……。すっごいエッチになってる」
有紗は正座になって身を屈めると、長い脚の間に体を入れ込み、完全に開帳した股間で御身を晒した神体をじっと見つめた。
「くっ……、こ、こんなことしなくていいよぉ……」
「ん? なんで……?」
そっと指先を幹に触れた。裏側にも落ちてきている先走りの汁を指の腹で擦りつけ、先端を目指して這い上がる。最後に首だけ出す形で握ってやると、直樹の脚がフルフルと慄いて閉じかけたが、有紗の体を蹴ってしまわないよう懸命に堪えていた。
「うぁっ……、だ、だって……、も、もう勃ってるじゃんっ。……そ、そんなことしてないで、早くしようよっ……!」
直樹の言葉に胸がキュッと締まった。自分もしたい。逢瀬の時間は限りがあるし、満足できるほど長くはない。直樹はこんなに勃起してくれていて、自分はスカートの中をドロドロにしているのだから、今すぐにでも繋がることができる。だがその時間を削ってでも、今日の有紗はこの男茎を慰めたかった。
「だーめ……。直樹? 直樹って、こうやって女の子にしてもらうの、初めてでしょ?」
「……う、あ……、そ、そうだ、よ……」
「うれしい? ……私が最初に触ってくれた女で」
「……そ、それは……」
唇が震えて、口内にまた涎が溢れてくる。握ったまま身を起こして、彼に吸い取ってもらいに行こうか。
「ん? ……何?」
握る力を強めて拳を僅かに上下させてやった。やっぱり、次の直樹の言葉を聞いたら、キスしてもらいに行こう。そう考えつつ、有紗は直樹の顔を見上げていた。
「う、うれしいよっ……。有紗さん、に、……さ、触ってもらって……。うわっ……、あ、有紗さんっ、……、やんっ……、も、もうダメだっ!」
少し揺すっていただけなのに、手の中で直樹の男茎が膨張すると、先端からしぶきを上げて射精が始まった。
「きゃ……」
突然のことで驚いたが、手を離さず握ったまま、中の尿道を勢い良く伝い出てくる感触を味わっていた。陰嚢がグッ持ち上がっては緊張して、放出するや弛緩して下がるのを繰り返している。亀頭の口からは白い粘液がTシャツに向かって扇形に弾け出ていく。