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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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H.-4

「ひなちゃーん!」
4月に入ったこの頃。
湊が大声を上げながら帰宅する。
ベランダは洗濯物の山だ。
「うぉい!ひな坊!また洗濯物取り込み忘れか!」
寝室に入り、すぐさまほっぺをつまむ。
「んんぅ…」
”通し”…いわゆる、17時から明け方の6時まで勤務の湊が夜勤明けからの休みの陽向に罵声を浴びせる。
そんな午前7時。
「…ぁう」
「ったく、しょーがねーなひな坊は…」
湊はベランダの洗濯物を全て取り込み、ソファーに放った。
「今日休みっしょ?」
「んー…ぁ…」
陽向は目を開けずに、コクンと頷いた。
眠いのか…。
湊は陽向の横に寝そべり、「今日ね…佐伯さんがね…」と語り出した。
のも束の間。
「んー…うるしゃい……」
陽向がまた寝ぼけた声を出す。
「はいはい」
湊が陽向の頬を撫でながら微笑む。
マウンテンパーカーをハンガーに掛けクローゼットにしまい、シャワーを浴びる。
こんな毎日が続いている。
布団に入るのはだいたい8時半頃だ。
リビングの隣にある寝室には、ベッドではなく布団が2つ仲良く並んでいる。
ベッドだと互いの生活リズムが違いすぎるので、どちらかが起きた時にどちらかが起こされてしまうだろうという考えから、布団にしたのだ。
ホームセンターで買ったこの布団はかなり安かったけれど、とても寝心地が良い。
緑地に葉の絵が描かれた布団を頭から被り、雪ん子みたいになりながら眠る陽向の横に寝そべる。
昨日は夜勤明けだと言っていた。
何時に眠ったのかは知らない。
部屋がだいぶ綺麗になっていたので、掃除してから眠ったのだろう。
鼻を指先でくすぐると「…ぃや」と小さな声を出して顔をしかめる。
そのまま手をほっぺたに滑らせ、親指で撫でる。
すべすべの白い肌。
その肌と同じ色をした指が、右手に絡む。
「湊…」
「なーに」
「こっち…きて」
陽向は目を閉じたまま言った。
その言葉に従い、陽向の布団に入る。
ほんのり温かい。
前から抱き締めると「おかえり」と陽向は腕の中で湊を見上げ、眠たそうな目で微笑んだ。
「ただいま」
「忙しかった?」
「んー、まぁまぁ。平日だから」
「…そっか」
「ひな坊は忙しかった?」
「まぁまぁ」
「そっか」
2人で笑い合う。
幸せだ。
すごく。
「ひな」
「なに…」
「俺、すごく幸せだよ」
「ん?」
「すごく幸せなの」
「あたしも幸せ」
陽向は布団から顔を出し、湊の目線まで視線を合わせると鼻にチュッとキスをした。
イヒヒと笑う。
「湊と毎日一緒だから幸せ。ズボラなところもあるけど、これからもよろしく的な」
「今日はズボラだらけだけどな。洗濯物とか」
「”今日は”でしょ!」
「はは。あ、今日ね、休みになった」
「なんで?」
「暇だから」
「4月なのに?」
「4月なのに」
「へんなのー」
「来週から激混みでしょうね」
「そーゆー感じか」
「だから今日はひな坊とゆっくりまったり」
「いいね」
陽向がフニャッと笑うと湊も笑った。
「疲れ吹っ飛ぶ。その顔」
湊は陽向の頭を撫でながら抱き締め「おやすみ」と呟いた。


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