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〈生贄の肉・二つ〉
【鬼畜 官能小説】

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〈伸びた触手〉-6





『まだ雨は降ってないですね……』


荒れた天気のせいで、既に外は暗くなっていた。

男は扉を開けた後、その歩みを緩めた。
寄り添う二人は男を追い抜く形となって、少しだけ前に出る……。


「キャッ!!」

「!?」


雷が光った瞬間、二人は目を丸く剥いて悲鳴をあげた……それは何も稲光に驚いたのではない……教会の周囲にある生け垣や木立の中から姿を現した作業着姿の男の集団が、こちらに向かって走ってくる姿が映し出されたからだ……。


「あ、貴方達は…むぐぅッ!!」

「なッ奈々未さん!?ん"ん"ん"ん"ッ!!」


暗い景色に紺色の作業着は溶け込んでいた……眼鏡の男は奈々未に背後から襲い掛かって口を塞ぎ、突然の襲撃にパニックに陥ってしまった玲奈は、悲鳴すらあげる間もなく部下達に捕らえられた。


『ビリビリ痺れて痛い目に遭うけど、我慢してくれよなぁ?その後には気持ち良〜いコトしてやっからよお……』

「む…むぐぐぐッ!!む"…う……」

『さあて、玲奈ちゃんも動けなくしてあげるねえ?』

「ん"〜〜ッ!!!んふ………」


羽交い締めにされたまま首筋にスタンガンを押し付けられ、十数秒もの間、バチバチと青白い光に神経は打たれ続け、やがて筋肉は麻痺していった。

毒牙は一瞬の内に二人の力を奪い、生ける人形としてしまった……。


(れ…玲奈さん……逃げ……逃げて……)

(助けて……奈々未…さん……)


手足は鉛のように重く、悲鳴をあげたくても声帯は痺れて震えない……意識だけは健在な二人は、突如として現れた捕食者の群れを、怯えきった瞳で見上げるしかなかった……。


『へへッ…目尻と唇を痙攣させてやがる。この顔だけでもヌケそうだなあ?』

『ジロジロ見てねえで早く包め。ここで見つかったら洒落にもならねえぞ』

『余計な口を叩くな。とっとと車に運び込めよ』


玲奈の瞳には、毛布に包まれていく奈々未の姿が映り、そして奈々未には、自分と同じ運命を辿る玲奈が映っていた。


(ど、何処に運ぶつもり……?やめなさい…ッ…!!)

(怖い…怖いよ……誰か来て…ッ!!)


悪天候の最中である。

外を歩く者はおらず、直ぐ傍にある幼稚園の園児も雷に怯えて窓際にも近付かず、保育士にくっついて離れないでいた。


あの時、眼鏡の男に感じた嫌悪感は、あれは人知の及ばぬ警告だったのだと二人は悔いた……だが、もはや全てが遅すぎた……セダンもミニバンも、そして1BOXカーも走り出してしまっていたし、それらが目的地に着くまでの時間は僅かしか無かった……。


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