偶然の嫉妬-2
〜偶然の嫉妬〜4-2
麗「好きって伝えたの?」
杏子「言えるわけないじゃん。ただの遊びだもん。」
麗「遊びか決めるのはその後。始まりなんて、何でもいいじゃん。最近様子おかしかったのは、本当にあの子だったんだ。」
杏子「…。」
麗「杏子がいいなら何も言わないけど、後悔だけはしないようにね。何かあれば、いつでも話は聞くから。」
杏子「うん。ありがとう。」
…ピロン
杏子「ほらね。こういう子なんだよ。」
麗に見せた携帯画面には、先程の女とタクシーの中で撮ったであろう2ショット。
麗「あらら。案外ヤキモチ妬かせたくて必死なのかもよ?かわいーじゃん。年下って感じが…。」
杏子「全然可愛くない。」
麗「でも思惑どおり妬いてるんじゃないの?」
ピロン…
“妬けよ(;д;)”
携帯画面を覗き込み、ニヤニヤと杏子の顔を覗く麗。
杏子「…。まさかね。」
麗「杏子も素直になんないと、恋なんてできませんよ〜。」
頬をツンツンし、からかう麗。
杏子「違うってば。」
麗「じゃさっきから、なんで怖い顔してるのよ?」
杏子「そんな顔してた?」
焦っている杏子に、笑いが止まらないのである。
杏子「もう。そんな笑わなくても!」
麗「ごめんごめん。とにかく、まだ終わりにするのは早いんじゃない?今日はもう帰ろうよ。」
杏子「…もう。言わなければよかったぁー。」
わざとらしくムクれた顔。
程よく酔ったままバーを出たのだ。
麗「杏子!!杏子!!あれ、あの子じゃないの?」
駅の改札に前にスッと立ち、時計を確認する男。
杏子「…。」
麗「ほらいくよ。」
杏子に腕を組み、龍崎の方へ向かう麗。
龍崎「倉山さん!」
杏子「麗、行こう。」
龍崎「おねーさん、倉山さん俺が送ってもいいですか?」
麗「どうぞ。丁度、電車別だから。」
杏子「ちょっと、麗!!」
龍崎に近寄り耳打ちをし、杏子を残したまま改札へ行ってしまったのだ。
(…泣かさないであげてね。)
「あの女の子どーしたのよ?ホテルに置いてきたとか?早く戻りなよ。」
「なんで俺の顔見て、言わないの?」
「…帰る。」
「職場の後輩。酔ってたから家の前まで送っただけだよ。」
通り過ぎる杏子の手首を捕まえ、離さない龍崎。
「妬いてくれないの?」
「妬かせて何が楽しい訳?」
「いちいち反応してくれる倉山さんは昔から可愛いですけど、今のは本当可愛くないっすよ。」
(…そんなこと言う為に、待ち伏せしてたわけ?そんなこと言われなくても…。)
涙を浮かべ、顔も見ようともせずに、手を振り払う杏子。
今にも泣き出しそうな面持ちの龍崎に、気づく訳もなかったのだ。
〜To be continued〜