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時々…純情のち恋心
【女性向け 官能小説】

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偶然の嫉妬-1

〜偶然の嫉妬〜4-1

仕事帰りにバーに立ち寄る。
気の許せるスタッフとの女子会。

麗「ここのバー気になってたんだよね〜。ところで、最近悩みでもあるの?もしかして男〜?」

杏子「違うよ。仕事で忙しいし、そんな暇ないじゃん!」

麗「本当かな〜?言いたくないなら、無理に聞かないけどさ。杏子もそろそろ彼氏作ればいいのに。仕事も大切だけど、恋も大切だよ。」

同性から見ても、色気のある麗。
いつものように恋話に花を咲かせていた。

杏子「え…。」

麗「何々?あの子知り合い?可愛い〜。若い〜。」

杏子「ちょっとした知り合いなだけ。」

バーカウンターに知っている顔が並んだ。

離れた席で軽く会釈したのは、龍崎であった…。

女2人と男がもう1人。

(…やっぱり返信しなくて、正解だったんだ。)

麗「杏子?ちょっと聞いてる?」

杏子「あっごめん。なんだっけ?」

麗「もしかして最近、様子がおかしいのって、あの子だったりして?」

からかうように笑い、甘いカクテルに口づける麗。

杏子「そんな訳ないでしょ。それにデート中でしょアレ?」

麗「そう?」

龍崎の隣に座る女は、あからさまに頬を染め、猫撫で声が聞こえてくる。

「龍崎さん、せっかくバー来たのに携帯禁止ですよ〜。」

(…私の前でそんなにベタベタ触らせる必要ないじゃん。無神経。)

…ピロン

“妬いてくれた?”

“お似合いだと思うけど。可愛い女の子でよかったね。”

自身に驚くほどの嫉妬…

妬かせようとするそんな質問に、素直に可愛い反応なんてできないのであった。年上のプライドかもしれない。

(…そうゆう所は年下っぽい。遊び慣れてるならその子でいいじゃん。1回寝た…もう満足でしょ。)

杏子「お手洗い行ってくるね。」

マスターと楽しそうに話す麗に声をかけ、席を立った。
龍崎にベタベタ触る女を見ていられないのであった。

…ピロン

“今日の倉山さん、かわいくないっすね”

“お互いさまでしょ。”

“一方的に無視されて、俺が傷つかないとでも思ってるんですか?”

“…お幸せに。”
(…可愛くないのなんて自分でもわかってる。)

思わせぶりな発言。
悪戯に笑う龍崎の顔が思い浮かぶ。

(…席に戻りたくないな。)

重い足取りで席に着く。

…ピロン

“なんだよ、それ?年下弄んで楽しいですか?”

“遊んでるのはそっちでしょ?昔からプレイボーイだもんね。もう連絡とらない。”

麗「ちょっと杏子、どーかしたの?」

杏子「なんでもない。マスターと何話してたの?」

涙を堪え、心が痛くても笑顔なんて作れるのだ。この場を上手く誤魔化せる大人。

横に並ぶ龍崎の方を見ることなく、カクテルを飲み続けたのであった。

「龍崎さぁ〜ん。もう1軒行きたいです。いいですよね?」

「おまえと違って俺は忙しいの。気をつけて帰れよ。」

「え〜送ってくださいよ〜。」

そんな会話が聞こえた後、先にバーを出たのは龍崎であった。

(…今日はその子とホテル?
すごい嫌な女になってる。あの子のように素直になる勇気もない癖に…。)

麗「明日休みだからって飲み過ぎだよ。大丈夫?」

杏子「あの子と本当は寝た。それだけ…。」

涙を目に浮かべ堪えていた。

麗「え?どうゆうこと?彼氏?」

杏子「違う。それだけで何もないよ。」

麗「好きなんでしょ?あのままだと女にお持ち帰りされそうな勢いだったじゃん。止めてきなよ。」

杏子「…いいのコレで。」
(…歳の近いあの子と、並んで歩く方が自然だもん。)

手を伸ばすこともせずに…
遊ばれ捨てられるのが怖かったのだ。

いつからこんなに臆病になったのだろう?


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