ふたりの出会い-8
「うん、そう。いっぱい他の男のこと考えてた」
「はっきり言うんだ、そういうこと」
組伏せられているのは桃子の方なのに、ユウはめいっぱい傷ついたような顔をする。
いっそ、この子が怒り狂ってこのまま絞め殺してくれないだろうか。
最後の瞬間、自分は命乞いをするのだろうか。
くだらないことばかりが、くるくると頭の中を駆け巡る。
あんまり悲しそうにしているものだから、桃子は仕方なく両手を伸ばして彼の短い髪をよしよしと撫でてやる。
「ユウ、大好き。いま付き合ってる男の人たちのなかで一番好き。わたし、ユウがいないと生きていけない」
「嘘ばっかり。誰にでもそんなことばっかり言ってるんだろ……そのうち、ほんとに刺されても知らないからな」
突き上げてくるスピードが速まっていく。
ベッドが不安になるような音をたてて軋む。
とうとう堪えることもできなくなって、桃子が声をあげはじめるとユウは初めて安心したように笑みを浮かべる。
いつか終わると知っている。
けれども、いまはそんなことどうでもいい。
これから始まるのは、生きるのに不器用な二人がやっぱり不器用な時間を過ごした、そんな時間のお話。
(つづく)