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浦和ミュージックホール
【その他 官能小説】

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インタビュー ウィズ 淑江-1

 淑江へのインタビューは喫茶店、酒は全く飲めないわけではないが、すぐに酔ってしまうそうで、ちゃんと受け答えできるかどうか心配だと言う、印象通りの生真面目さを感じる、それとともに気の小ささも感じてしまうのだが・・・。
 
 「何度も聞かれてるとは思うけど、どうして踊り子になろうと思ったの?」
 答え飽きてるかなとは思うのだが、やはりそれから聞かない訳にはいかない。
 「長くなりますけど・・・いいですか?」
 「うん、全然構わない、むしろできるだけ詳しく聞きたいんだ、小さい頃から引っ込み思案だったの?」
 「はい、私、二つ年上の姉がいるんです、私と違って姉は活発で頭も良くて、いつでもみんなを引っ張って行くタイプでした」
 私と違って、と前置きする辺りから淑江の性格が見えてくる。
 かすかに生まれ故郷だと言う栃木の訛りを感じるのも朴訥な印象を強くする。
 「お姉さんとは仲良かった?」
 「特別良いとも悪いとも・・・姉は私なんか余り眼中になかったかも」
 なんとなく想像がついてくる、そのままを淑江に投げ掛けてみる。
 「もっと歳が離れてれば可愛がってくれたかもしれないし、憧れたかもしれないね」
 「さあ・・・どうなんでしょう?」
 「頭を押さえつけられてるって感じた事は?」
 「それも別に・・・」
 「そう・・・比べられて嫌だったってことは?」
 「それはありました、姉はいろんなことで代表になってましたから・・・小学校で式典の時とか良く壇上に登ったんです、そうするとクラスのみんなが私の方を見て・・・中学一年の時、姉は生徒会長でしたからそういう事はしょっちゅう・・・」
 「お姉さんが目立って誇らしかった?」
 「・・・かもしれません・・・でもなんだか恥ずかしい方が先に立って・・・」
 「クラスメートに振り返られるのが?」
 「ええ、自分がちっちゃく感じられて・・・」
 だいぶ見えてきた、淑江は知らず知らずのうちに萎縮していたようだ、しかし、そうなる要因もあったはず・・・。
 「ご両親はどんな人だったの?」
 「両親とも中学の教師をしてました、今も多分」
 「厳しかった?」
 「父は体育の教師でしたから、悪い事をすれば怖かったですけど、あまり細かい事は・・・母は社会科の教師で・・・」
 「お姉さんを見習えとか言われなかった?」
 「あ、それはしょっちゅう・・・」
 ご両親としては淑江を励ましていたつもりなのだろうが、結果的に頭を押さえつけていたようだ。
 「反発はしなかった?」
 「反発ですか?別に・・・だってそう言われるのももっともだったから」
 どうも頭を抑えられていた反動だけでストリッパーになったわけではなさそうだ・・・なるほどこれは長い話になるなと思ったのだが、淑江の話は急転回を始めた。
 「高校三年の終わり頃でした、街で男の人に声をかけられて・・・」
 「声をかけられるくらい初めてじゃなかったんじゃない?」
 淑江は確かに「引っ込み思案の眼鏡っ娘」だが、かなり整った顔立ち、大人しい感じの娘が好きなら惹かれる男も多いと思う・・・・。
 「はい、でも知らない男の人に声をかけられるとなんだか怖くって・・・その時は知ってる人だったから・・・」
 「どういう知り合い?」
 「姉の彼氏だったんです、姉のことで話を聞いてもらえないだろうか?と言われて喫茶店に」
 「どんな話だったの?」
 「それまで知りませんでしたけど、一月くらい前に喧嘩して、それから会っていないと」
 「ふぅん・・・仲を取り持って欲しいと?」
 「いいえ、面と向かってサヨナラを言うつもりだったけど、電話にも出て貰えないし、メルアドも変えたみたいだから私から伝えて欲しいと」
 「なるほどね、お姉さんって相当気が強いんだね」
 「自分に絶対の自信を持ってましたから・・・」
 「そんな風だね・・・それでお姉さんには?」
 「伝えました、一瞬表情が強ばったみたいに見えましたけど、『ああ、そう』とだけ」
 「強がりかな?」
 「はい・・・後でそう思い知りましたけど・・・」
 「後で?」
 「姉の返答を伝えることになっていましたから、もう一度彼に会って・・・その時に『君の方がずっと可愛いよ』と言われて・・・」
 「なるほど、判る気がするね」
 「私も姉の彼氏だった時から素敵な人だな、と思ってましたから・・・」
 「つきあったの?」
 「はい」
 「想像だけど、彼は君を抱いて『素晴らしい』と言わなかった?」
 「・・・そのとおりです、どうしてそう思うんですか?」


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