を-6
今まで篠塚さんの両端を陣取っていた女の子には目もくれず
笑顔で私の手を取って引き寄せる。
みんなが篠塚さんのその行動を顔だけ向けてじっと見つめる中
篠塚さんは私の肩に腕をかけさらに引き寄せた。
みんながそんな篠塚さんを驚いたようにじっと見つめるなか
ぐっと自分に私を引き寄せた後、
「柳下、OK」
と、シャッターのGOサインを出した。
「あ、はい」
その声につられるように
柳下君の持つカメラのシャッター音が数回鳴った。
「柳下〜その画像、広報部の共有ホルダーに入れて。俺ほしい」
私の肩を離さないままに篠塚さんがそう叫ぶ。
「私もほしい。加藤さんと一緒に写ってる写真!」
「私も!なかなかこのメンバーでの写真は撮らないよね!」
「あ。俺も紗江子さんと一緒の写真、ほしい」
そんな声が聞こえる中、席に戻ると私の肩に置かれていた篠塚さんの手が腰に移動して
そこからずっと離れなかった。
そのあと、少しして
「夢、出ようか?」
と促された。
会社での篠塚さんの顔が知りたい。
そんな思いでこっちの席に移ってきたけど
聞く話は篠塚さんが冷徹な経理の鬼って感じだ。
駿の言っていた通り。
私が感じた篠塚さんとは違う。