笛の音 1.-14
外出している間ずっと秘所を隠し覆っていた布地を遠慮無く舐められた上に、わざわざ言葉にして味覚を評されて、有紗は羞恥に頬を染めて信也の額を押し返そうとしたが、その抵抗を嘲笑うかのように更に強く顔を押し付けてくる。
「うああっ……、いやだっ! ……きたないっ!」
気が狂いそうだった。環形蟲を思わせる舌が、女として不本意な相手には絶対に許してはならない場所を這い回っている。
「見せてもらうよ? 有紗のココ……」
ショーツに指が差し込まれる。今でさえ狂乱しそうなのに、最後の薄布が剥がされようとしている。
「うああっ!!」
ショーツが横にズラされた瞬間、有紗は叔父を押し返そうとしていた両手で、額に指先を立てて固く閉じた瞼の上を覆った。嘘だ。夢であってほしい。視界をどれだけ暗くしても、暴かれた花園に熱く湿った息を感じる。
「思ってた通りキレイなオマンコだ」
目の前に晒された秘門に興奮して上ずった声を上げた信也は、感想も早々に音を立ててそこへむしゃぶりついた。紺色のソックスに覆われた有紗の足が、電流に打たれたように跳ねる。溢れる涎を次々と狭間に流し込まれ、舌が花弁を探り当てて何度もなぞってきた。
「うっ……、あっ……」
「んー? 気持ちいいか? 有紗」
「んっ……、やめてっ……」
何回やめろと言っても、されるがままだ。誰かこの男を背後から襲ってくれ。殺してしまってくれ。そう願っても、家の中は信也が有紗を貪る湿音が目立つほど静かだった。
頼むからもう終わって欲しい、と懇請したくなるほど長い時間、信也に舐め回されていた。顔を覆って涙を啜っていた有紗だったが、
「じゃ、有紗。いよいよお父さんがオトナにしてやろう」
という信也の声と、高々と持ち上げられていたヒップがソファに降ろされ、しかし脚を閉じようとしたら間に挟まれた体に妨げられたことで、手のひらを瞳から外して下腹を見やった。ちょうど信也がズボンの前を開けて、湯気が立つほどに獰猛に屹立した男茎を取り出したところだった。初めて見た雄欲に猛る形に変わった男茎に、すぐには現実感を持てなかったが、根元を持って倒された先端が秘割に当てがわれると、その熱さに恐怖が全身を慄かせた。
「や……、やめて。お願い」
約束した相手がいる。父の不幸があって叶えてやっていないが、会いに来て、愛を伝えられたら喜んで許してやるつもりでいる。
獣が唸るような低い声で息を吐きながら、信也が腰を押し出してくると、まだ固い有紗の丘をたっぷりまぶされた唾液の滑りを利して亀頭が圧してきた。
「いや……。やだ……」
有紗は後ろに肘をついて身を起こし後ずさりをしようとしたが、すぐに肘掛けに阻まれた。赤黒い亀頭が開かされた脚の中心に捻じ入れられようとする様子がつぶさに見えて必死に首を振った。「いやだっ! ……直樹、……直樹っ!!」
名を呼んだと同時に割裂かれた痛みが襲ったが、痛痺に震える腹の中でドクン、ドクンと脈打つ怒張が破瓜の事実を知らしめてきた。
「ん……、誰だ、そいつは……」
「やだ、抜いて。……いたい、……いたいよぉ、助けて……、な、なお……」
「なんだ、有紗は付き合っている男がいたのか」
信也は制服を着たままのウエストを両手で掴むと、「そんな奴、別れてしまっていい。これからはお父さんが有紗をいっぱい可愛がってやる。……そらっ!」
最後まで姦されたと思っていたのに、まだ途中までで、残された隔たりを一気に亀頭が進んで最奥に到達してきた。
「うああっ! ……、わあぁっ……!」
半身を起こしていた有紗が、あまりの痛みに最後は言葉にならない絶叫で天を仰いだ。絶叫を上げさせたのは肉体的な痛みだけではない。体を串刺しにされて、中から身を破裂させようと膨張してきているかのような感覚。いっそのことこの体を飛び散らせてしまって欲しい。激痛はまさしく姦された証だ。捧げるはずのない相手に捧げてしまった。
「おお、……有紗、セックスしてるぞ、お父さんと……」
信也がゆっくりと腰を前後させ始めると、男茎と潤いの足らぬ壁が擦れる度に痛みが襲ったが、もう有紗は声を出すことができなかった。引いた幹に赤い雫を確認すると、
「初めての相手がお父さんでよかったなぁ……。安心しろ、これからたくさん気持ちいいことを教えてやる……。うっく……、言ったろ? 責任持って大人になるまで育ててやるって」
信也の息遣いが荒くなった。有紗の体に覆いかぶさると、強く抱きしめてピストンを早めてくる。茫然としたままの有紗だったが、乾いていた唇に信也がしゃぶりついてきて、直樹にいつもしてもらっていた、優しく、切ない口づけとのあまりの違いに呻き、気色悪い唇と舌に歯を立てようとした。危険を察知した信也が寸でのところで顔を引いて難を逃れると、
「くっ、……ここまでしてやってるお父さんに、何てことするんだ」
と言って、更に律動を早めてきた。
「ううっ……、殺して、やる……」
「殺す?」