植物園にて-2
「起きたか。身体はどうだ?だるいとかどこか痛いとか無いか?」
そう言ったヴェルメはリョウツゥと視線を合わすようにかがんだ。
エプロンからのぞく豊満な胸の谷間が益々いやらしい。
「ぁ、えっと……だ、大丈夫です。ありがとうございます」
顔を真っ赤にしたリョウツゥは視線を背けるように頭を下げた。
「そうか。なら良い。夕べ、飯の時間に行ってみたが良く寝ていたので起こさなかった。腹が減ったろう?直ぐに朝飯を作る。座って待っていろ」
「あ、あの、お手伝い……させて下さい」
こんなに世話になっているのに何もしないのはさすがに気が引けて、リョウツゥはヴェルメのエプロンの端っこを掴む。
「そうか。なら、パンにバターを塗って焼いてくれないか?」
リョウツゥの申し出を有り難く受けたヴェルメは、カウンターを指差した。
そこにはスライスされたパンとバター、トースターが置いてあった。
「はい!」
仕事をもらったリョウツゥは元気良く返事をしてカウンターに向かう。
その背後からヴェルメの手が伸びてきて、リョウツゥにエプロンを被せた。
「わっ」
「うん。似合う」
水色のエプロンはやっぱりフリフリがついていて、とても可愛らしいエプロンだ。
ヴェルメは満足そうに頷きながら、腰の紐を可愛いリボン型に結ぶ。
「頼んだぞ」
「ぁ、はい」
ポンと軽く腰を叩かれ、リョウツゥは言われた仕事に取りかかった。
(可愛いの……好きなのかな……?)
ヴェルメの態度はとてもぶっきらぼうで正直怖いのだが、フリフリとかピンクとか好きなのかと思うとなんだか和んでしまう。
リョウツゥは口元に少し笑みを浮かべ、パンにバターを塗り始めた。
朝食はヴェルメの作った野菜スープと、リョウツゥの焼いたトーストだった。
簡単なものだったが、リョウツゥにとっては本当に久しぶりのまともな食事だったので、感激しながら一口一口しっかり味わって食べる。
「クアトリアには何をしに?」
食事をしながらヴェルメが聞いてきたのでリョウツゥは素直に答えた。
ヴェルメの可愛いもの好きで、かなり警戒が解けたのだ。
「えっと……観光というか……」
まあ、素直に答えるには理由があまりにも衝動的過ぎて上手く言えないのだが。