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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 畜泄 〜-1

〜 畜便 〜

 ざっざっざっ。

 肘を水平に保ったまま両手を後頭部にまわし、爪先立ちで闊歩する窮屈な行進も、すでに3周目を超えている。 それなのに誰も達する気配がない。 先頭の22番も、胸がたゆんと揺れる9番も、体操では失態続きだった15番ことアタシ自身も、誰もがただ歩くだけだ。

 ざっざっざっ。

 脳裏には8号教官の言葉がこだましていた。

『本日の排泄許可をあげちゃおう。 今から10周の間に、お腹の中のモノをぜぇんぶ芝にぶちまけなさい。 小さい方はもちろん、おっきい方もね』

『行進以外はすべて余事なの。 これから行進中にお腹がいたくなることもあるわ。 そういう時は、その場でなさい。 姿勢を崩すことは絶対ダメ』

『例えしたくなくても関係ないよね。 指示があれば、いつ、何時、どこででも出す。 抗議、例外は一切認めないよ』

『10周を過ぎたら即刻許可は撤回です。 もし出せなかったら、次に許可があるまで待たなきゃなの。 辛いわよぉ、便秘でもないのに出せないのって』

『そういうのが好きなら別にいいけど、悪いこと言わないから、ここでしっかりやっときなさい。 それじゃあいくわよ、よーいスタート♪』

 意味がわからなかった。 いや、今も決して分かった訳じゃない。
 要約すれば『歩きながら排泄せよ』。 
 それを、ここでしろというのだ。 例えば右の太腿をあげた時に、尻の孔を全開にし、一息にぶちまけながら右脚をおろし、ボタボタを茶色い塊を漏らしながら、今度は左の太腿をあげて、ブリブリと濁音を響かせながら左足を下ろせという。 言葉で行進のリズムをとるのではなく、お尻の穴から洩れるガス音で合わせろという。 恥ずべき行為を隠しもせず、本来は堂々と行うべき行進の最中に曝けだせという。 

 アタシたちはヒトとして最低限の尊厳すらもってはいけないと、つまりはそういうことだ。 

「……ぐすっ」

 涙がまたも込みあげてきた。 
 口惜しさからなのか、恥ずかしさからなのか、もうあたし自身にも分からない。

 四つん這いでしたり、立ったまましたり、お尻の穴を広げてしたことはある。 といっても、それらは全てジッと止まった上での話だ。 自分の内臓に意識を集中し、じっくりと矯めてから、腹筋に力を籠めて解き放つ。 そうでないと便は肛門をくぐれない。

 ざっざっざ。
 ぎゅるる……くるるる……。

 1つになった歩調に混じり、誰とはなしにお腹が苦衷を呟いている。 あたしのお腹も、さっきからゴロゴロ鳴りっぱなしだ。 薬缶の水を境にして、みなに便意が迫っているような気がする。 

「わん、つー、わん、つー……ふっ!」

 行進のリズムをとりながら、何回目だろう、試みにいきんでみた。 

「ん、んんっ……! わ、わん、つー、わん、つー!」

 ダメだ、ちっとも集中できない。 あとちょっとで最後の一線を越えられそうなのに、本能だろうか理性だろうか知らないが、身体と別の場所にリミットがあるようで、気持ちがポキリと折れてしまう。

 ここがトイレの個室で、あたしが便座に座っているならば、とっくに大腸の内容物が迸っていることだろう。 基本的に、あたしは今、ウンチがしたい。 それなのに排泄の時間すら貰えず、こんな形で管理されては、辛すぎて身体がいうことを聞いてくれなかった。 
 
 変化がない行進が続く。 4周目。 5周目。
 
「「わん、つー、わん、つー! わん、つー、わん、つー!」」

 5周目の半分を過ぎた時だった。 
 事態を動かしたのはやっぱり彼女だった。 あたしたちを先頭で引っ張り、一身に指導を受け続けた22番さん。 鞭の痕が痛々しいお尻から、唐突に肛門がグイと捲れた。


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