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僕と私
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-3

そうだった。私は女で彼は司。予備校で知り合った。


私は高校2年の時、崎守くんという男の子が好きだった。


彼は野球部で坊主頭で背が高くてガッシリした体格の男の子だった。


彼に告白してOKをもらい付き合った。


だけど彼の事が好きすぎて行き過ぎた行為をするようになってしまった。


連絡も無しに彼の家の前で待ち伏せしたり、突然家に押しかけたり


部活が終わるまで毎日待ったり、私は四六時中崎守くんと一緒に居ようと必死だった。


彼も最初は驚きながらも喜んでいてくれた。そう思っていた。


高校生だし盛りの付いた男の子で自分の事が大好きでいいなりの私は


都合が良かった部分もあったのだ。私は彼の求めるままだった。


だけどあまりにも付き纏われてうっとうしくなったのだろう。


彼は警察に通報した。


私は接近禁止命令を受けた。


そして私は友達になろうとした。女として見てくれなくていい。


せめて友達で居て欲しくて必死にお願いした。


毎日お願いした。


すると彼は折れてくれた。


そして彼との不思議な関係が始まった。


彼は私に男になる事を条件に出した。


それは友達と言える関係ではなかった。


私は彼の都合の良い玩具のような存在になった。


体の関係も男と男の関係のようになった。


それでも良かった。私は彼と一緒に居たかった。


予備校で知り合った司は当時からずっと相談に乗ってくれていた。


崎守くんには何度も「もう会わない。これが最後」と言われた。


だけど彼女と別れる度に連絡をくれた。


私は完全に都合の良い相手だった。


司はいい加減にしろ。もうやめろとずっと言ってくれていた。


そんなある時、崎守くんが結婚した。


「結婚する」とだけ言った。


4年前の事だ。


子供が出来たらしい。


だけど私達の関係は変わらなかった。


だけどその1年後別のの女性に刺されて死んだ。


崎守君は結婚しても私との関係を続け、さらに他の女性とも関係を持っていたのだ。


実際はもっと他にもいたらしい。


私の全てだった崎守くん。


私は何もかも失った。


そして司が崎守くんの代わりになってくれた。


私を男として扱ってくれるようになった。


私が司にそう頼んだのだ。


それから私は完全に男として生きていた。





私は冷めてたんじゃない。


熱過ぎたんだ。


男として生きる事でそれを抑えてきた。


女になるとまた行き過ぎてしまうかもしれない。


それが怖かった。








「司。今までごめんね。酷い扱いしてごめんなさい」


私は謝った。何度も何度も謝った。


彼は目頭を押さえ、静かに泣いていた。


私は彼の頭を撫でながら「結婚、おめでとう」と言った。







後日、私は結婚式場に居た。


大安吉日、天気は快晴。


私は友人や家族に祝われていた。


私の隣には司。


これから私は司の為に生きる。


司がそれを許してくれる。


あの日病院で、私がどんなに暴走して行き過ぎても受け止めると言ってくれた。


きっと私の価値は司が教えてくれる。


存在意義だってきっと司の為だったのだ。








幸せいっぱいの式を終え、


お祝いの電報を1つ1つ読んでいた。


例によってお決まり文句ばかりが並べられていたが


意外と嬉しかった。


その中に他とは少し違う様子の電報があった。


黒いよくわからない動物のぬいぐるみがメッセージを咥えている形になっている。


そのメッセージには







「イツモソバデミテイルヨ。ズットズットシヌマデエイエンニ」


と書かれていた。


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