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僕と私
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僕の価値とは何だろう?


僕の存在意義とはどんなものだろう?


僕は一体何のために存在しているのだろう?




人は何かにつけて理由を欲しがる。





家族の中での僕の価値はどうだろう?


僕はだいたいいつも家族の仲裁役。


父親も母親もキレると手が付けられない。


父親は物に当たるし母親は人に当たる。


妹はそそくさとその場から離れるちゃっかり者。


特に平和主義と言うわけではないが、いつの間にかその役割を担うのがお決まりとなってしまった。




では友人たちの中での僕の価値はどうだろう?


僕はあまり自分からどうこうしようと発言したりしない。


諍いを起こしたくないとかそういうわけではないが


きっと元々受け身体質なんだろう。


何より自分以外の誰かが決めてくれてそれに乗っかるのが楽だからだ。


ただのズボラだ。


人の為に自分をなげうって何かするような情熱は今の所見当たらない。


だからきっと彼らも僕の為に必死になったりなんかしないだろう。


それでいいと思っている。





では社会の中での僕の価値はどうだろう?


僕は26歳で社会人4年目だ。


直属の上司は7つ上の33歳。


とにかく愚痴っぽい。


与えられた仕事は精一杯しているつもりだ。


だけどそれ以上の事をしようとは思わない。





では日本での僕の価値はどうだろう?


社会人ではあるけど特別何かに貢献してるわけではない。


きっとどこにでもいるただの20代の若者なんだろう。




では世界での僕の価値はどうだろう?


何一つ突出したところのない僕なんて世界規模で見るとただの人間、といった程度だろう。




では地球規模での僕の価値はどうだろう?


きっとただの動物だ。




では宇宙規模では?


今日、月に1番近い星はなんだろう?


僕の視点から見ている星はただの星だけど、実際は惑星や衛星だ。


火星には27000mの山があり、木星の衛星エウロパには氷層の下には海があるそうだ。


想像すると鳥肌が立つと同時に浮足立つ。





きっと僕の命なんて取るに足りないものだ、そう思える。


宇宙規模で物事を考えると何故か安心する。


あぁ僕はなんてつまらない人間なんだ、と。





先日友人が結婚した。


子供が出来たらしい。


嬉しそうに言っていた。


世間的にはめでたいのだろう。


いやどうだろう。


でき婚だしそうとも言えないか?


どっちにしろ僕は結婚式に参列しなくてはならない。


それが何とも苦痛で仕方がない。


僕は結婚がめでたいものだとは思っていない。


父と母の様に毎日喧嘩ばかりしている姿を見ていたからだろうか?


結婚はただの生活の一部で、他人と他人が一緒に暮らすのだから


そりゃあもう大変なんだろう。


僕の結婚のイメージはそういうものだ。


なのになぜ祝うのだろう。


友人達のスピーチやメッセージではきっと「幸せな家庭を築いてください」や


「笑顔の絶えない家庭を築いてください」などの決まり文句を言うのだろう。


僕はそんなの言いたくない。





僕には付き合っている人はいない。


2年前に別れたきりだ。


「冷たい」と言われた。


大学の時に付き合っていた人にも似たような事を言われた。


そうだ。僕は何に対しても情熱がないんだ。


きっと僕は人を大切に出来ない人間なんだろう。


傷つけたいわけじゃないのに、結果いつも傷つけてしまっているのだから。


僕は結婚に向かない人間なんだろう。


それならそれでいい。


割り切った関係という手もある。





実はそういう人はだいぶ前からいる。


間何年か抜けたりはしているがもうこの関係は8年になる。


18歳の時に知り合った。


予備校が同じだった。


なんとなく今もずるずると関係が続いている。


僕にはそのくらいが心地良い。





『今日会える?』その人からのメッセージだ。


『会えるよ』


いつもと同じ駅の前の広場で待ち合わせだ。


仕事終わりのその足でその駅に向かう。


駅構内を出ると雪がちらついていた。


その人はいつもと同じように広場に立っていた。





「お待たせ。じゃ、行こうか」僕がそう言った時、


その人は僕の腕を掴んだ。


話がある、と。


いつもは待ち合わせてすぐそのままホテルに行くんだけど


今日はそうじゃないらしい。


歩いて10分もしないところのカフェに誘われ入って行った。


まだきっと夜ごはんは済ませてないはずと思い、何か食べようと言うが


すぐ済むから、と飲み物だけ頼んだ。


「何?早く話してよ」


神妙な面持ちなまま話そうとしないのでしびれを切らし


僕はそう言った。


すると俯き加減の顔をスッとあげて一言


「結婚する事になった」と言った。





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