て-1
「私は・・・怖かったんです」
「俺が?」
「いえ。このまま好きになる事が、です」
「・・・・」
ゆっくりコーヒーを飲みながら今の私の心境を
正直に話した。
「イかせてくれたら。それで終わる関係なのに。
2回しかデートしてないのに。それでも毎日毎日ドンドン好きになって行くんです。
だから。怖くてもう会えないと思いました」
石島さんは私の持っているマグをそっとカウンターに戻して
そのまま私を抱き寄せた。
「なぁ、あの感覚は『俺だから』なんだよ。
由香里を絶対に他の男に触らせない」
もう一度ギュッと抱きしめた。
「身体と一緒に心も抱いてくれますか?」
「当たり前。俺はもともと由香里の心ごと抱いてたよ」
そう言って私たちはベッドに転がり込んだ。
「で?さっきは何をそんなに嬉しそうにしてたわけ?
俺と別れそうになってるって言うのに」
「あ・・・。化粧品」
「化粧品?」
「そう。私も石島さんと別れるのに辛くて肌がぼろぼろになってるんです」
「ふ〜ん」
そう言う私の頬を優しくなでた。
「だからいつもより贅沢な化粧品を買ったんです」
「ふ〜ん」
そう言いながら片方の眉毛をわずかに上げ
憎らしい顔で自分の服を脱ぎだした。