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飛べない鳥の飛ばし方
【ファンタジー 官能小説】

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王様の秘密-3


(1人で大丈夫ですかねぇ)

 あまり心配はしていないが気がかりではあるもう一つの問題の事を頭に浮かべたカウル=レウム王は、仕方ないかと早々に切り替えて残っている書類を片付ける事に専念しだした。


 バタバタと騒がしくなった城内から抜け出し、地下道に逃れた密偵は周囲の気配に気をつけながら足を緩めた。

(くっそ。しくった)

 絶対に気づかれてない自信があったのに、と密偵は歯ぎしりする。

 密偵は黒い髪に黒い獣耳、黒いふさふさの尻尾から狐タイプの銀の民だと分かる。
 口元を覆っている黒い布の下で悔しそうに歯ぎしりしていた密偵は、自身を落ち着かせるように大きく息を吸った。

(しかし……王の謎が分かったら無駄な死者が増えるってのはどういう事だ?)

 王の座が危ういとか、そういうのなら分かるが、無駄な死者が増えるとは?

(ま、もうちょっと探ってみようかね)

 密偵はゆっくりと息を吐き出すと地下道を走り出す。

 雇い主に報告するにはまだ情報が足りな過ぎるし、何よりも自分自身が王に興味が出てきた。

(全部の能力を持ってんのも興味あっけど……)

 飄々とした態度の下に隠された本性を暴きたくなった。

ー続くー



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