予想と違う現実-3
(ど、ど、ど、どうしよう)
きっとここはいかがわしいお店に違いない。
倒れたリョウツゥをこれ幸いと運んで、使い物にならなくなるまで働かせるに違いない。
(あああ……バインさん、バインさん)
リョウツゥは慌ててバインの荷物を探す。
しかし、近くにバインの荷物は無く、更には……。
「え……ええぇ?!」
寝具に包まれた自分の身体は、素っ裸だった。
(あああ、やっぱり、やっぱり、やっぱり)
リョウツゥは蒼白になりガタガタ震える。
気づかぬうちに事が終わってしまっていたらどうしよう。
リョウツゥは震える手でそっと秘所に触れてみた。
「……ょかった……」
指先には渇いた感触しか伝わってこず、リョウツゥは心底安堵して寝具に突っ伏す。
(……じゃあ、きっと、これからなんだわ……)
のんびり突っ伏している場合じゃない。
リョウツゥはシーツを手繰り寄せて身体に巻き付け、ベットから足を降ろした。
バインの荷物は取り上げられたようだが、長い旅で中身はほぼ空っぽで残っているのは価値の無いものばかりだ。
2人で調べた暗く湿った場所でも育つ植物や生き物の記述、偶然見つけた綺麗な石など……リョウツゥに以外にはどうでも良い価値の無いもの。
溢れそうになる涙をグッと堪え、リョウツゥは部屋に置いてあるチェストの引き出しを開けた。
白く塗られたチェストにはピンク色の可愛らしい花が描かれていたが、中身は革制のビキニセットとかゴツくて太いベルトとか……可愛らしいピンク一色の部屋とは違い、何だか異質な雰囲気を放っていた。
その中から自分が着れそうな物が無いかとあさっていると、部屋に近づく足音が聞こえてくる。
(やだやだやだ)
焦れば焦る程、手元が震えて狂いまくりチェストの中身を撒き散らした。
ガチャ
「いやあぁあぁっ!」
結局間に合わず、ドアが開かれた音と同時にリョウツゥは悲鳴を上げ、翼まで出して身体を覆う。
「な、なんだ?!」
ドアを開けた主はリョウツゥの悲鳴に驚くと共に、散乱したチェストとその前でカタカタ震えている黒い翼の塊にも驚く。
「何事ですか?!」
更にもうひとつ声が増えて、リョウツゥは絶望的になって益々硬く震えた。