和州道中記-4
息の荒い竜胆の唇に再び貪り付き、朽葉は己の着物を器用に脱ぐ。
いきり立った一物を竜胆の口元へ持って来ると、朽葉は言った。
「しゃぶりな。歯は立てないで丁寧にやれよ」
流石に一瞬はおののいたものの、理性を失いかけていた竜胆は素直に朽葉のそれを口に含んだ。
そして朽葉は竜胆の秘所に再度、手を伸ばす。
「んむぅッ!」
「止めるな。こっちも止めちまうぞ」
弄くりながら、朽葉は言う。絶妙な指使いで、竜胆は再び絶頂に向かって行った。
「あ、あ、あぁ…あ…んぁッ」
指を出し入れすると、ずちゅずちゅという水音が大きく響いた。
竜胆のそれは指を咥え込み、放さぬように締め付けて来る。
(く…何て締め付け方をしやがる)
彼は陰核を見つけ出すと、それを指で弾いた。
「ひゃ、ぁあああんッ!!」
竜胆が再び絶頂を迎える。朽葉も同時に己の欲望を彼女の喉にぶち撒けた。
だが、彼の一物は早くも硬さを取り戻しつつある。
「そろそろ本番と行くか」
体勢を変え、朽葉は竜胆の身体を舌で蹂躙しながら、一物を秘所にあてがった。
理性を失いかけていたものの、さすがにこれには竜胆も抵抗する。
「や、嫌!止め…ッ」
「しっかり咥えな!」
そして一気に貫く。
「ひッ!いやぁああ!痛――――ッッ!!!!」
「へ、すぐに良くなるぜ」
泣き叫ぶ彼女の声は意に介さず、朽葉は腰を動かした。
苦痛に顔を歪め、竜胆は声を上げる。
「つッ、う、あッ!うッ!」
「…痛いか?我慢しろよ、良くなって来るぜ」
男根は一際深く竜胆の奥を突く。声にならない声を上げる竜胆。
「―――ッ!!!!」
「もっと鳴きな!」
朽葉は強烈な締め付けを受ける。
「くぅ、流石初物。締め付けが…くッ、違うぜ。…どうだ?良くなってきたか?」
「あ、やあ、んッ、あッ」
段々と、竜胆の声にも痛みではない声が混じる。朽葉はにやりと笑い、腰の動きを早めた。
「あああッ!やぅ…んッ!!」
「出すぞ…ッ」
刹那だった。
言った朽葉の首が、赤い糸を引いて飛んだ。
竜胆の顔が、身体がそれを浴びて赤く染まる。首のない身体は、ずるりと竜胆から一物を抜いて後ろに倒れた。
勃った一物が徐々に萎んでいく様を呆然と見つめていた竜胆は、それが刀によって二つに割れるのを見て、ひッと声を上げる。
「この…糞野郎が!!」
一紺は物凄い形相で、飛んだ朽葉の首に歩み寄り、それを足で踏み潰した。
ぐしゃり、と嫌な音。
竜胆は我に返り、一紺を見上げる。
「…一紺」
彼は、あられもない姿の彼女を見つけると苦痛に顔を歪めた。
「もし…あいつらが、俺にでかい傷を付けようとしとったなら、成功したで…」
そして、誰に対してか呟きを漏らした。
「俺の、心にな…」
「……」
竜胆は、呆然と己の姿と行為の跡を見とめて、愕然とする。
「あ…」
悔しくて、唇を噛締めるが、不思議と涙は出なかった。
何とかぼろぼろの着物で最小限の場所を隠し、彼女は座り込む一紺へよろめきながら歩み寄る。
そしてその肩を後ろからおそるおそる叩いた。
「触んな」
返って来たのは、素っ気無い言葉。
自虐的な笑みを浮かべて、一紺は頭だけ竜胆に向けて言う。
「…どうして抵抗しなかったんや?そないになるまで奴に犯されて…」
「……」
「この、淫乱が!こんな奴相手に、どうせ感じてたんやろ?!こうなんのやったら…こんな奴にお前を奪われんのやったら、昨日無理やりでもお前を犯しておいたら良かったわ!」
「…一紺…」
悲痛な表情を浮かべる一紺に、ただ竜胆は彼の名を呼ぶしか出来なかった。
一紺は、大きく溜息をついて頭を左右に激しく振る。
「…違うんや、ごめん。お前が悪いわけでもないのに…」
言いながら、近くに転がっていた小瓶を何とはなしに手に取る。
小瓶を手の平で弄びながら、溜息をつき、手に力を入れた。ぱりん、と硝子が割れて一紺の手の平が赤く染まる。
ぼそりと、一紺が言った。
「俺…お前が好きやねん」
「…!」
「思わずかっとなって、酷い言い方して…ごめん」
一紺を後ろから抱き締める竜胆。
「私こそ…お前を、傷付けた」
「…竜胆」
二人の瞳から、涙が流れた。
一紺も竜胆を、病めるように、せがむように抱き締めた。