新たな生徒たち-3
三十分ほど経過したところで、京佳先生が立ち上がった。
「少し脚を広げてみましょうか」
全裸を凝視され続けて意識がもうろうとしていた早紀は、言われるがままに両膝を離した。脚のあいだの陰りがわずかに覗く。
「駄目よ、そんな少しじゃ。もっとがばっと大胆に開いて」
「無理……無理だよ……」
弱々しくかぶりを振る早紀に、しびれを切らした京佳先生が近づいた。背後から両膝を掴み、一気に広げる。
おおおおおっ! と雄叫びのような声とともに教室が揺れた。男たちはみな、前のめりになって早紀の花弁を覗き込む。
「色素が薄くてきれいだな」
「びらびらもあまりはみ出していない」
「意外と経験が少ないのかもしれないぞ」
「それで欲求不満でヌードモデルをはじめたってわけか」
男たちは好き勝手に品評をする。
早紀は元彼とセックスするとき、必ず脱ぐ前に電気を消して真っ暗にしていた。恥ずかしい場所をひとに見せた経験はない。なのにいまや、蛍光灯に照らされた教室で、二十人近くの男たちに割れ目の奥を見せつけている――。
「やだあ、なんでこんなことに……」
早紀は啜り泣いていた。茫然自失のショック状態に陥っていて、抵抗するほどの気力はない。
「足を椅子のうえに乗せて、M字に開きなさい」
泣きじゃくりながら、京佳先生の言うとおりのポーズをとった。
サーモンピンクの控えめな肉のフリルや、ちょこんとフードをかぶったクリトリスや、わずかに開いた経験不足の赤い穴が、男たちに向かって開陳されている。
カシャ、と人工的なシャッター音がふいに響いた。早紀ははっとして音のしたほうを見る。佐伯くんがスマートフォンをかまえていた。
「桃井の全裸写真ゲット!」陽に焼けた顔をにやっと歪ませる。
「写真はやめて!」
早紀は悲鳴を上げ、すがるように京佳先生を見た。
しかし京佳先生は「いいじゃないの、きれいな裸なんだから」と笑っている。
「お、撮影OKか。私も撮ろう」
男たちはつぎつぎに携帯電話を取り出し、カシャ、カシャ、とシャッター音を立てる。
――ああ、撮られてる……。あたしの顔が、おっぱいが、剥き出しのあそこが……。こんなのありえない、現実じゃないみたい……。
シャッター音の洪水のなかで、早紀は呆然として裸体を晒していた。
――あたし、どうなっちゃうんだろう。顔までしっかり写ってる全裸の写真をいっぱい撮られて。これがばらまかれたら、人生終わっちゃう……。