抱-6
「安心して。由香里のそんな顔は他の男には見せないから」
そう言うと空いている方の手が私の腿をさすった。
「んっっ」
優しく愛撫されるその手つきと
その手が石島さんだと思うと
声を出しちゃいけないのに。
声が我慢できない。
「声はダメ」
そう言って口の中に石島さんの人差し指が入ってきた。
その指を舐めるように口を閉じて声を我慢する。
「・・んんっっ」
「由香里。気持ちいい?」
手は決してスカートの中まで入ってこなかったし
胸を触られているわけでもなかった。
ただ、口の中を指で犯され
首を舐められて
耳たぶを噛まれる。
その一連の動作の中に、石島さんの男の色気を感じないわけにはいかなくて
下着の中がぬれて行くのが分かった。
ゆっくりと手を離され身体を離され
私の顔を覗き込むと
「その顔じゃ店を出られないな」
困ったように笑いながら
私の顔を隠すようにギュッと抱きしめた。
スーツの下からドキドキと鼓動が聞こえるのは
私のじゃない。
石島さんもドキドキした?
そう聞きたくて聞けなかった。