3話-2
「朱莉だけ気持ちよくなってたら不公平だな。俺のも気持ちよくしてもらおうか」
春斗は朱莉の拘束を解いてやり、身体を支えてやりながら彼女をベッドから降ろしてしゃがませ、自身は縁に座りなおした。それから自分のハーフパンツと下着を二ついっぺんに脱ぎ捨てる。
「よし、今度は俺が気持ちよくなるまで舐めろ」
朱莉の側頭部を両手で掴んで、そそり立つ自分のペニスの目前に引っ立てた。
「はい……ご主人さま」
朱莉は小さく応えると口をぽっかりと大きく開けた。どうやら目が見えないのでそっちで入れてくれ、という意思表示なのだろう。
「しっかり舐めろよ」
春斗は朱莉の望み通りに彼女の口にペニスを差し込んだ。とたんに朱莉は口を締め、温かい舌が春斗のペニスを優しく撫で上げた。ゾクゾクッと快感が春斗を襲う。
「どう、ですか? ご主人さま?」
朱莉がペニスをしゃぶりながら春斗を見上げる。アイマスクで目元は隠されているが、おそらくその裏では上目づかいになっている言だろう。可愛さについつい春斗は抱きしめてやりたくなるが、今は堪えてわざと少しだけ冷たく言い放った。
「微妙だな。口全体で奉仕しろ」
「うぅ……はい……」
残念そうに朱莉が返事をする。本当の所は“微妙“などではなかったが、春斗に芽生えた少量の嗜虐心が、そう言えと命令してきたのだ。
朱莉は一旦ペニスから口を離し、一呼吸置いてから再びペニスにしゃぶりついた。さっきまでの舌を駆使した静かなものではなく、口全体でピストン運動を始めた。
「気持ちいいぞ、朱莉」
朱莉の側頭部を掴んでいた両手はすでにその位置を彼女のセミロングの髪の毛に移して優しく撫でていた。
「嬉しいです……」
またもや朱莉が嬉しそうに春斗を見上げる。その瞬間、春斗に急な射精感が迫ってくるのが感じられた。
「あー、そろそろ出そうだな」
「え? あ、はい」
「口、離すなよ?」
春斗は朱莉の後頭部を軽く掴んで固定すると、彼女の口腔内に勢いよく精液を発射した。
「う……ぐっ」
朱莉の口の中では春斗のペニスが脈打って精液を吐き出し、口内をドロドロと満たしていくのと同時に、精液特有の苦い味が広がっていく。
「ふぃー。気持ちよかったぞ、朱莉」
朱莉の口からペニスを引き抜いた春斗は、ベッドの小脇に置いてあるティッシュ箱から三、四枚ティッシュを手に取ると朱莉の口元に差し出した。
「ほら。吐いていいぞ」
「あ、ありがとうございます」
朱莉の口からこぼれ出す白い粘液が、手のひらのティッシュの中に包み込まれる。春斗はその液体の温かさを手に感じながら、なんとも言えない気分になる。この粘液がつい数十秒前に、自分の体内から飛び出したものだからである。