ダブルデート-1
あの旅行での経験から1年が過ぎ、亜沙美は39歳になった。
この1年は亜沙美の今迄の生活を一新させ、色んな変化を与えた。
平凡な主婦の生活を守りつつも亜沙美には不倫相手が出来た。
パート先の喫茶店に来る常連で別府と言う53歳の自営業の男がパートナーだった。
デートを重ね、ある晩に告白され、唇を奪われ、身体を重ね、不倫が始まった。
しかし半年間の関係は今では月に1、2回の逢瀬に減り、マンネリ感が漂い、少なくとも亜沙美は終わり時を探していた。
そんな中、別府からヨットのデートを誘われて行ったのは夏のよく晴れた日だった。
自宅から少し離れたスーパーの駐車場に亜沙美は車を止め、そこで合流し、別府が所有するヨットまで移動する予定だった。
実際に予定通りではあったがそのデートはダブルデートだった。
別府の車の後部座席には鈴木という49歳の男性と礼子という50歳くらいのぽっちゃりしたふくよかな女性がいた。そこでダブルデートと言うことを初めて知った亜沙美は「どういう事?」とキツイ視線を送ると別府は困った表情をしてエンジンをかけて、車を出した。