平穏 1-3
週明けの月曜日。
慌ただしい一週間がまた始まった。
裕也は普段より早めにオフィスに来ていた。
主任は大体、部署で一番早く来るので、自分も早く来れば他の社員に邪魔されず少しでも多く主任と会話出来ると思ったからだ。
正確に言えば、僅か28時間程前まで自分が楽しんでいた主任の体をマジマジと観察してみたかったのが本音だ。
主任が軽やかに出勤してきた。
「おはようございます!」
「あら、おはよう!早いわね。」
「はい、今週は頭より体を使うんで張り切ってきましたよ。」
「なるほどね、鈴木君そういうの得意そうだから期待してるわよ(笑)」
(“そういうの”ってか…。体は得意だよ、主任の体が知ってるとおり、くくッ‥)
月末の経理処理が先週のうちに無事終わり、今週は2人で書庫の片付けをする。
書庫にある保存年限を過ぎた書類を確認しながら廃棄処分しなければ、膨大な書類が溜まる一方だからだ。
主任はどちらかと言えばパンツよりもスカートのほうが多いが、今日は動き易いパンツルックだ。
綿の薄いベージュで、形の良いお尻と長い足がくっきりとしている。
大抵の男たちはこのお尻をチラチラと眺めて、中の下着はTバックだと妄想するだろう。
しかし、それは外れだ。
パンティーラインを隠すために主任はショーツを穿いている。
薄い紫色のショーツを。
裕也は寿輝から今朝の主任のお着替え盗撮写メをもらっていたのだ。
クローゼットの前で部屋着を脱いでいる後ろ姿を2枚。
主任のお尻を包み込むようなショーツ。
自分だけがそれを知っている優越感と興奮に裕也は満たされていた。
書庫室は各オフィスのフロアーとビルのB1階にあり、古いものほどB1階に保管されている。
「じゃあ、行こっか!やりたくないけど‥」
「行きますか。」
主任がB1書庫室の鍵を取り、裕也が後に続いた。
「おい、鈴木!密室で綾瀬主任にセクハラすんじゃないぞ、既婚者なんだからな(笑)」
課長が呼び掛けてきた。
「しませんよ!」
(自分こそ、酔うとセクハラ発言するくせに!)
2人はエレベーターに乗り込んでいった。