四人の女-18
「お客様はどちらへお帰りですか、終電はもう出てしまっていますが」
「ニューグリーンです」
「そうですか、私もニューグリーンです。一緒に帰りましょう、車で来ていますから、二人ほど同じ方向の子がいますので同乗しますが、宜しいでしょう、賑やかで」
「それは有り難い、同乗させて下さい、助かります」
二人の女の子を降ろすとニューグリーに向かう自動車専用路に入る。
「瑠璃さん、お腹減ったでしょう」
「力仕事ですから、減ります。健康的ではありませんが夜食を食べないと眠れません」
「月亭に寄って食べませんか?」
「いいですね、是非。私の家は近くですから、車を置いてから行きましょう、一杯飲みたいですから」
「それは嬉しいことで、お近づきの杯交わしましょう」
「古風な言い方ですね。お名前は何と仰いますの、よろしければ」
「綿貫翔太、三十五才です」
「綿貫さんの、私は瀬戸瑠璃です、瀬戸の孫娘です」
「なんだ。瀬戸さんの娘さん、奇麗な二人の孫娘さんがおられると聞いていましたが、瑠璃さんはお姉さん」
「ハイ、ふつつかな姉です。妹恵美は、地方の国立大学医学部の学生です」
「貴女もお医者さんになったと聞いていますが」
「一年外来の医者をして止めました」
「道理で、揉み方が上手いんだ」
「よう、綿貫、綺麗な人を連れてどうした」
「大東、そっちこそ美人同伴で」
「美成さん、まほろばの」
「瑠璃さん・・・・・・こっちの方なのお家は」
「そう、そこの瀬戸」
「なんだ、瀬戸さんの孫娘さん、遠くにいると聞いていたが」
「綿田薬局の娘さん、美成さん、コレは同級生の綿貫、堅物で・・・・・・何で瑠璃さんと」
「そんなのいいでしょうが、乾杯しましょう、大東さん、この人はスーパーの社長、私と同棲しているの」
「お近づきで宜しく、乾杯」
「大東、明日仕事だろう、社長が夜遊びいいのか?」
「明日はお休みよね、重文さん」
「普通の日に休みか、スーパーは大変だね年中無休だろう」
「殆ど無休だよ、休日でも呼び出されるからね」
「小母さん、どう、まだ入院か」
「長引きそうだね、バス事故の怪我はもう直ったんだが、内臓がね、・・・・・・・歳並みに弱っているんかな」
「大事にしてやれよ、うち見たいに死んでしまったら淋しいよ」
「妹二人はどうしたんか、頭の良い子だったが」
「美成さんと妹の方は同級生だったんだね。姉の方と同じ道へ進んで医者をやっているよ、東北と北海道で」
「コレは寒いところで、大変だね。お前は出版社に勤めているんか」
「今は止めて、学者さんのゴーストライター」
「そんな仕事があるんか、畑もやってんだな」
「綿貫さん、畑仕事もしているの?」
「瑠璃さん、こいつのオヤジは畑仕事一本で、土地を売らなかった。あんたのお祖父さんと一緒」
「大変だったな、あの時、高校に入った年、買収騒ぎで」
「本当だ、家に瑠璃さんのお祖父さん、美成さんのお父さん、大東のお父さんは途中で抜けたが、集まって、団地造成の会社とすったもんだして、とうとう売らなかったもんな」
「お陰で、残った者が百姓仕事・・・・・・でも美成は結構楽しいよ、土いじりはいいね、瑠璃さん」
「そう、私、土地があって楽しい」
「いいな・・・・・・、おやじは、マンション建てて死んでしまったもんな」
「建てて直ぐに、おやじさん亡くなったんだ」
「遺産相続大変だった、畑のママであれば、税金少しで済んだのに」
「いまも不動産屋が買いに来ますよ」
「瑠璃さんのとこも?」
「一週間に一回ぐらい」
「うちもだ、美成さんは」
「来ますよ・・・・・・・」
翌日瑠璃は娘の美晴を学校に送り出すと、綿貫の家に向かった。
「綿貫さん、まだ寝ているの、電話をしてお邪魔しているのよ・・・・・・」
「もう少し寝せて、・・・・・・」
「瑠璃も一緒に寝させて・・・・・・入るよ・・・・・・男臭い、この布団後から干すね、こっちを向きなさいよ」
「瑠璃さん、顔は綺麗で、良い性格なのに、別人みたいね、お早う、昨日は有り難う、ぐっすり寝れた」
「そう、キスして、朝の挨拶」
「下着だけ?」
「自分も、パンツだけじゃないの、昨夜の続き」
「瑠璃さん、パンツの中に手を入れないで・・・・・・・」