親子-1
リュドミラ、つまりリリヤの母親は、自分が先生と付き合っていることをリリヤに話した。そして、離婚のじきに成立することも話した。リュドミラは提案した。
「でもね、親と学校の先生がお付き合いするのは良くないことなのよ。て言うか、人が嫌がることなんだわ。でもね、ママは続けるつもりです。あなた、学校に行ってないんだし、先生の立場も悪くなるわ。学校も、こんなママと一緒にいるのも嫌なら、パパと暮らしてもいいのよ。」
「パパにも女の人がいるんでしょ。知ってるもん。」
リュドミラはうなずいた。
「知らない女の人がいるとこに行けないよ。あと、あたしも好きな人がここにいるの。あたしを世界に戻してくれた人。ママも知ってる人だよ。大人なの。」
「騙されて変なことさせられてるんじゃないでしょうね。」
リュドミラの顔が訝しそうに険しくなったのを見たリリヤが、同じくらい険しい表情をして
「変なことって例えば何? 今度、会ってみるといいよ。」
リュドミラは自分の行動を娘に客観的に突きつけられた思いがした。坂上から聞いた罪悪深重の凡夫の話が脳裏をよぎった。