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悠久の恋の果てに
【ファンタジー 官能小説】

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-5

「こんな爵位、思い通りの人生を送れないなら何の意味があるんだろう」
「それでも。坊ちゃんは大久保男爵の次期ご当主です」
「好きな女と一緒になれない爵位なんか僕はいらないけどね」

また、ゆっくりと場面が歪む。
ぐにゃりと歪んだその場面がゆっくりと元に戻って
見えた景色はあまりの惨劇に目を疑った。

なに・・・これ・・・?

街中の建物が無残に壊れ焼け野原になっていた。
みさをが泣きながら血だらけの手でがれきをどけていた。
私は何時間、その行為をただただ見守っていたのだろう。
知らないあいだに涙が流れ
声も出すこともできず、ただただ見守っていた。

爪が剥がれ、血だらけになった手で
なおもがれきをどけるのを止めようとしないみさをに
どうして、声なんかかけられるのだろう。

「若旦那様!若旦那様」

やっと瓦礫の下から一人の遺体だろうか。
みさをが発見した。
ゆっくりと体全部をその中から掘り起こし
みさをは着ていたカスリの着物の片袖を肩から破りとった。

そしてゆっくりとその遺体の顔を自分の着物の袖で拭いた。
遺体には無数の涙がポタポタと落ちていった。
その涙もカスリの着物にゆっくりと吸い込まれていった。

「若旦那様。お辛かったでしょう。
もう、全部みさをが取り除きましたからね」

そう言っていつまでもいつまでも
みさをは遺体の顔を拭いていた。



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