吸血餓鬼-4
それから玲香は竜彦に連れられ銀行に行き全額を引き下ろした。すべて竜彦に奪われた。
「ま、取り敢えずこれで俺達6人の借金はチャラにできるぜ。でもな、俺達以外にもたくさん地獄を見せられている奴らがいるんだ。おまえらが悪事を働いた分、しっかり吸い取ってやるから覚悟しとけよ。」
そう言って竜彦は去って行った。文字通り無一文になった玲香。もはや何も考えたくはない。早く部屋に戻りたかった。ジュースを買う金もない。こんな生活は初めてだ。玲香はボーッとしながら歩き、そして部屋に戻った。
ベッドに倒れ込み天井を見上げると金のない不安から様々な恐怖が襲いかかる。
「ガソリン、もうあまりない…。お昼どうしよう…。部屋代…電気代…引き落とし出来ない…。お給料日までまだだいぶあるな…。啓太に借りようかな…。ダメ、啓太には言えない…。」
キャバ嬢である事は知っているが詐欺に加担さしている事は言っていない。事情を話す訳にはいかない。玲香はどうすればいいか全く分からなかった。
「消費者金融で借りようかな…」
ふと頭に浮かんだ。被害者が消費者金融で借りた金で私腹を満たしてきた自分が消費者金融から金を借りようとしている。情けなく思った。まさに罰が当たったのだと思った。
玲香はパソコンでアップさせられてしまった自分の画像を確認した。服をビリビリに破かれ胸や陰毛を露出し竜彦に顔を踏まれている画像だ。その画像には多くのコメントがつけられていた。
『たまんねー!こんないい女を踏みつけたら最高に気分いいだろうなぁ!』
『これ、マジレイプ??じゃなかったらこんな事させる女って余程のMか好き者ヤリマンだよな!』
『俺もこういう奴隷欲しい〜!』
かなり賑わっていた。永遠にこの画像を見て屈辱的な言葉を浴びせられるのかと思うと気が滅入ってくる。もし顔がバレたら怖くて街を歩けない。竜彦に逆らう事がますます怖くなってきた。
すると知らないアドレスのメールが来た。しかし添付されている画像と件名の「覆面」という文字から昨夜の覆面男である事は分かった。
『一万円やろうか?さすがに財布から全部抜いて悪いと思ったからさぁ。』
ふざけた内容だ。憐れまれている事が情けなくなるし腹立たしかった。
『結構です。』
すぐそう返信した。するとまたすぐに返信が来た。
『そうか。じゃあいいや。タダでヤラせてもらうわ。』
意味が分からない文面だ。
(意味分からないし。)
そう思った瞬間、いきなり玄関のドアの鍵を開ける音がしてドアが開いた。
「えっ!?」
ベッドから飛び起きた玲香が見た者は部屋の入口から玲香を見つめる覆面男の姿であった。