悶え-1
「あの女、怜子じゃないの私より年増なくせに」
あい子はそう呟きながら悔しい気持ちを押し殺し、それでもガラス越に見える男と女の凄ましく卑猥な交尾に釘付けになった。
とっくに五十過ぎの怜子であるが大きく垂れた乳房、こってりと付いた尻周りの肉厚は
あい子をしのぐ迫力があった。
勝男は目を剥きながら初めての交尾に陶酔しているように見える、しかも時折発する怜子の喘ぎ声が勝男の欲望を掻き立てているようだ。
(イヤだ私までアソコが火照りだしたわ・・・)
知らないうちにあい子は自らの股間に指を這わせていたのである。
「もっと、いいわ・・・激しく突いて」
「こうですか・・・」
勝男の腰がグイグイと押し入る
「ァァ〜いい、イクー・・・・ダメ〜」
怜子の背が反り激しく髪を乱した 瞬間である
「お、おばさん 俺もアア」
勝男は怜子の脾肉奥深く射精したのであった。
ぐったりと怜子の背に崩れたのである。
その晩、勝男は用意された晩飯を貪るように食い入った。
あい子は何事も知らなかったそぶりで
「勝ちゃん、今夜はよく食べるのね」と言うと
「すごく美味しいんです、おばさんのお陰です」
まだあどけない顔でにっこり白い歯を見せておかわりをするのだった。
「まあ、げんきんなこと」
あい子はフーとため息をついたのだった。
(もう、勝男なんかと風呂など入ってやるものか)
あの光景が浮かぶとあい子は勝男に嫉妬する自分がみじめに思えてきたのだった。
夜、布団に入ってもあい子はなかなか寝付かれなかった。
疼く女の性、未亡人であるゆえの肉体の火照りを処理できないあい子。
いっそうあの講徳のいる寺にで駆け込みたい衝動にかられていた。
それから数日が過ぎた。
「住職さま、お手紙がきておりやす」
寺の掃除などする少し知恵遅れの八百造という男が講徳の元へ手紙を持参した。
「だれじゃ、わしに手紙をよこしたものは」
郵便を受け取ると講徳は首をかしげた
「平川あい子・・・だれじゃったか・・・」
(拝啓 住職さま 先日は私の亡き夫の供養にありがたいお経いただきましてありがとうございました。
さて私事で恐縮でございますが、亡き夫を偲びますと生前の夫の優しさが今になって愛おしく思われます、住職さまのお言葉に甘え今一度 夫に会いたいと思っております。
その手助けをお願いしたく手紙を書きました所存です。
勝手ながらお寺さまのご都合をお知らせいただければ幸いでございます。
「ほーう、あの後家さんか・・・まだあの歳では男が欲しいじゃろう・・疼き始めたか」
(前略、あい子様のお手紙拝見させていただきました、まことまだご主人を思われる心、礼服させていただきました。
ご主人さまとの再会は 私 講徳が必ずお導きさせていただきます。
ご都合がつきましたら今月の29日 喪服持参でおいでくだされ、バスの停車場までお待ちくだされ使いの者が迎えさせていただきます。
講徳の返事はもう五日後の郵便で届いた。
(返信ありがとうございます、29日午後のバスで向います、名が平バス停には2時ころに着きますのでよろしくお願いします。)
あい子はその導きが何であるか、あの晩の老僧 講徳との情事を忘れてはいない、数日
後の講徳との再会をあい子は心待ちしていたのであった。
「勝ちゃん午後から出かけるわ、夕飯少し遅れるけどいいかしら」
あい子はすこし上ずった声で勝男に声をかけた。
「分かりました、ごゆっくりしてきてください」
あい子は用意した喪服を風呂敷に包むと足早にバス停に向い1時20分のバスに乗った。
約40分で名が平に着く、あい子の胸の鼓動が速くなっていた。
講徳は時計を見て使いを呼んだ。
「バス停まで女性を迎えにいってくれ、それから風呂を早めに沸かしてくれ頼む」
そう言いつけると講徳は自分の部屋に入っていった。
講徳は部屋に入ると奥の物入れから何かを取り出していた。
「へへ、俺の代わりをしてくれる頼もしいやつじゃ」
ブイーン クネ クネ クネ
黒く光る男根に見せた玩具である、この時代、一部の者しか持たないすぐれものである。
「今日はあの後家をうんと悦ばせてくれようぞ、フフフ」
仏に仕える者とは思えない講徳の不敵な笑いが不気味であった。