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〈熟肉の汁〉
【鬼畜 官能小説】

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〈熟肉の汁〉-1





夏の日射しは弱まりを見せ、夕方に吹いてくる風は少し涼しく、その香りには秋の気配が忍んでいる。
やがて日は沈み、月がほんのりと街路樹の葉を照らすようになった。

行き交う車、賑やかな街。

小都市は夜になっても喧騒は止まず、寧ろ其れは昼よりも勝る……。


『でさ、家の亮ったら店の中でごねちゃってぇ』

『あ〜、分かるわぁ……欲しい玩具があると「買って買って」って騒ぐもんねぇ』

『恥ずかしいから買っちゃったりするんだけど、ホントは良くないんだよね』


よくあるファミレスの中で、数人の女性達の談笑する姿があった。
20代や30代といったふうに年齢にばらつきは有るも、話の内容からいって、その女性達の子供が同い年位なのだろう。
つまりはママ友である。


「家の彩矢は女の子だけど、なんでか戦隊物の玩具が欲しいって駄々捏ねるのよね……」


そのママ友の中に、一人だけ浮いた女性が混じっていた。
それは美しい顔立ちが、一際目立つからに他ならない。

深野恭子・31才。

パッチリとした瞳に整えられた眉毛。
鼻筋はスッと通り、薄い唇は僅かに口角を上げている。
明るいブラウンに染められたセミロングの髪は軽やかなカールを見せ、プックリとした頬が示す通り、その身体はムッチリとした肉感に富んでいた。

少しだけ嗜んだビールの酔いもあってか、ほんのりと赤みのさした顔は実に色っぽく見える。

薄手の赤いセーターにジーンズというラフな出で立ちにも関わらず、その美貌は他を圧倒するもので、胸元の膨らみはセーター越しだからこそ、やたらと目立っていた。


「あ〜、もうこんな時間……」

『恭子さん、私のパパを呼んであるからさ、私が送ってあげる』


恭子を送ると言ってくれた女性は、藤本有紀といって、ママ友の中でも一番若い奥様である。
キョロリとした瞳と小さな鼻は少女のように幼く、とても一児の母とは思えない。


『パパって呼んでるの?私なんか「オイ」よ?』

『キャハハ!なんか昭和のオヤジ臭いぃ〜』


ママ友達は騒ぎながら会計を済ませ、駐車場まで出た。
そこには、ワインレッドに光る欧州セダンが、静かに佇んでいた。



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