恋-2
「いいから。出て来い。何時間でも待っててやるから」
「だから行きたくないんですってば」
「・・・・」
「・・・・」
さっさと電源を切ってしまえばいいのに
私は心のどこかで誰かとつながっていたいのかもしれない。
「今、会社に電話すれば休日出勤の人事と連絡取れる」
「?」
「美緒の住所を無理やり聞き出して、そっちに行くこともできるけど?」
は?
「そ、そんなこと出来る訳ないじゃないですか」
「どうかな?」
「個人情報ですよ!」
「だな。出来るかやってみるか?」
「・・・・」
やりそう。そして出来そうで怖い。
「俺にそこまでさせたいか?」
「・・・・」
「出て来い。待っててやる。あんみつ食いに行こう」
「え?」
「あんみつ。好きだろ?」
「・・・・」
「あんみつを食べれば機嫌が直るから。出て来い」
なに・・・それ。
なんであんみつなのよ?
「分かりました」
本当に住所を確認されそうだから。
そんな風に自分に言い訳して、
このまま家にいても気分は晴れないから。
出たほうがいいのかもしれない。
そう思って私はハイスピードで出かける準備をした。