悪戯電話-3
3、
朝目を覚ました沙織は、自分の格好に慌てて着替えようとするが、夫が帰っていない事に気づき、身体をティシュで清め、ゆっくり着替え始める。タンスからブルーのショーツを取り出して穿き、その上にスリップを着た。
時計を見ると8時を回っていたが、日曜なのもあって慌てる必要は無かった。
(トゥルルル、トゥルルル)
電話の音が鳴り、沙織が電話に出ようと近づく、
(どうせ主人だわ・・・何て言い訳するのかしら・・・クス)
「はい、松本ですけど」
だが、沙織の予想に反し、電話の向こうは夫では無かった。
「奥さん、俺のプレゼントは気に入ってくれたかい?既に使ってたりしてね・・・ヒィヒヒ」
ゲスな笑い声が電話口から聞こえて来るも、沙織は図星を指され、見る見る頬を染めた。
「な、何を・・・あんな変なもの要りません」
沙織は冷静さを装い、毅然と答えると以外にも相手は、
「要らないの?そうなんだ・・・じゃあ、今から奥さんの家に回収に行くよ」
男の予想外の回答に、沙織は冷静さを失った。
「ま、待ってぇ・・・あの、その、直ぐ・・わ」
電話口の向こうで、男が声をあげて笑うと、沙織は益々赤面する。
「正直に答えな・・・奥さん、使ったんだろう?プレゼントのバイブを!!」
少し声のト−ンを抑えて、男が沙織に質問する。
「あっ・・あのぅ・・・ハ、ハイ・・・」
沙織は観念し、男にバイブを使った事を白状した。
「フフフ、素直に白状したのに免じて、俺がもっと気持ち良い使い方教えてあげるよ・・・今から行くからお楽しみに・・・」
沙織の顔が見る見る青くなる。頭の中は真っ白で、どうしたらいいのか分からない。このまま男を家に招き入れれば、犯されるのは明らかだが、拒めばどんな事になるのか想像出来無かった。
数分後、家の外に男が姿を現した。沙織は暗い表情で玄関の扉を開けると、そこに立っていたのは、向かいのアパ−トに住む関口という普段から小汚い格好をした中年だった。
(この人が・・・そう言えば、前に私の胸をイヤラシイ目で見ていたわ)
「フフフ、意外だったかな?そう、私が奥さんの・・・この胸、尻、そして大事な此処を想像して我慢出来ず、奥さんにエッチな電話を掛けた男さ・・・もっとも、奥さんも好き者のようですがね」
そう言うと、沙織を引き寄せ口付けをする。不意を突かれた沙織は、慌てて関口を突き放す。
「や、止めてぇ・・私は・・・そんな女じゃないわ!もう、帰ってください!!帰らないなら、警察呼びますよ」
だが関口は、ニヤニヤしながら沙織の警告をものともせず、沙織を再び抱き寄せた。よろよろと蹌踉めき、沙織が関口の胸元に顔を付けると、関口は沙織の耳元で囁き、
「奥さん、旦那じゃ味わえない快楽を・・・教えてあげるよ!!」
そう囁くと、沙織をお姫様抱っこした。沙織は蛇に睨まれた蛙のように、抵抗する気力を奪われ、関口と共に寝室に消えて行った・・・