久-3
いつもの居酒屋を通り越して
オシャレなイタリアンのお店に入った。
こんなところにこんなお店があったなんて知らなかった。
「素敵なところですね」
「うん。今日はさ。俺が頼んでいい?」
「はい。お任せします」
そう言うと、マスターを呼びよせて頼んでいたけど
なんか懐かしいナポリタンが出てきた。
ここのお勧めなのかもしれない。
そしてワイン。
「中野さんは・・・美緒って呼んでも良いかな?」
大久保さんは話を続けようとして、ふと気がついたように名前の事を持ちだした。
「下の名前の呼び捨ては、ちょっと・・・」
それこそ、会社で何と言われるか。
「だよな。ごめん。中野さんは1番古い記憶っていつ?」
あ・・・・
久しぶり。覚えてるって言われた話の続きかな?
「幼稚園ですかね?」
でも、大久保さんと私はどう見ても幼稚園の同級生と言う感じじゃない。
この人いくつなんだろう。
「そ・・・かっ」
寂しげにそう笑うと
「もうこの話は止めよう」
と、気を取り直したように美味しそうにパスタを食べだした。
幼稚園よりもっと古い時の知り合いなの?
そんなの覚えてないな・・・