蜜月-2
「そう、それだよ!」
「えッ?」
「裕也の上司の裸見るかってことよ…」
「写メとかあるんですか、、、」
「違う、違う、ホンモノ!」
「…、…。」
寿紀は、希美にこれまで何回か「魔法」をかけてきたこと、それら全ての「実験」がことごとく成功してきたことなど、経緯をひっそりと話した。
裕也はグラスの手を休め、目をパチクリとさせながらじっと聞いていた。
「す、スゴいんすね…」
「今日お互いが喋ったことは誰にも言わない固い約束だからな!」
「御意!ですよ、御意(笑)」
「なんか米倉涼子出てるドラマであったね、そんな返事(笑)」
それから、しばらく裕也が黙り込んだ。
「でも、なんかいけないような感じしますね、バレたら怖いし…」
「秘策があるから絶対に大丈夫って!」
「はァ…」
「心配性だなぁ。見たくないの、綾瀬主任の下着姿?」
「それは、見たいです!見たいですけど…。メールとかでまた返事して良いですか?」
「そっか、押し付けもいけないしな。わかった!アドレス交換しとくか。飲み過ぎで明日すっかり忘れてるとか、そう言うのは無しだぞ(笑)」
寿紀は裕也が葛藤しているのを見抜いていた。
人生初で当然のことだろう。
それは寿紀も同じだったが、数回の実験で120%成功しているので気持ちに余裕があった。
裕也は間違い無くお願いしてくる。
寿紀はそう確信していた。
それからお勘定を済ませて居酒屋を出た。
「今日はご馳走になりありがとうございました!」
「いやいや、楽しかったよ、またやろうな!」
「はい、ぜひまた!」
自転車に乗り、走り出す裕也。
「怪我しないようにな!」
「どうも!おやすみなさ−い!あッ、それと…明日お返事しますんで(笑)」
(OKって言ってるみたいなもんじゃんか!)
寿紀は苦笑いした。