入社三年目の功績-1
入社三年目。
一年目・二年目とお世話になった大熊さんが退社。新しく部長席に座ったのは、三十路の女部長、前原加奈。
「はじめまして。名前は前原加奈。この課の部長を任されました。これから宜しく!」
まぁ普通の挨拶だなぁと感じながら彼女を見つめる。彼女エリート中のエリートだ!キツイ顔の人は見ただけで分かる。目が悪いのか?睨み付ける様に皆を見回す。目をあわせたくない…。彼女の体へと目をやる。三十路の女なのか?背が高く髪は短い。バストは俺好み、ウエストとヒップはキュっと締まり、素晴らしい体だった。体は高校生とみてもさほど変わりはない。
顔を見て自分は笑ってしまった。
「プッ。。ニヤニヤ。。」
「そこの君名前は?」
すぐさま彼女が声を荒げる。
「あ、えー。入社三年目の飯島圭介です。」
「なんで、君はニヤニヤしてたのですか?」
「すみません。昨日観たビデオが面白かったものでつい思い出し笑いをしてしまいました。」
同僚が一斉に笑う。
「まぁいいわ。今日から私の指示に従ってもらうから。」
「ハイッ!」
翌日、いつものように出社してみると自分の机の上にはドッサリ積上げられた書類がある。
隣の同僚に聞くと前原部長が朝一で書類を置いたらしい。これはイジメだろ?そう思いながら前原部長のもとへ。
「すみません。前原部長、私の机の上に山積みに重ねられた書類があるのですが、これはどのように処理したらいいのでしょうか?」
「君昨日何したか覚えてる?」
思ってもいなかった返答に戸惑う…。昨日?そういや笑ってしまった事か。(してしまった事は仕方がないだろ。)それだけで
あんな事やるのだろうか?キツイ部長が来たもんだ。
大熊さんは優しく「してしまった事は仕方がない!次に活かそう!」と優しく片付けてくれた。
しかし、目の前にいるのは大熊さんではない。前原加奈。
「…。先日の件は申し訳ございませんでした。」
「分かってるんじゃない!じゃぁ、あの書類今日までにパソコンに入力しておいて。」
無理だ。そんな終わる量じゃないのは百も承知だと思っておきながら。(クソー!ムカつく。)
「部長、しかし今日は部長の歓迎会ですよ?」
フフフ。勝ったな。そう思った。しかし予想もしない返事を彼女発した。
「私から社長に言っておいたわ。歓迎会というのは飲み会とお遊びみたいなもんだからいいわ!と。」
そんな。今日はあの書類と一夜を過ごすのか。
「じゃぁ圭介君だっけ?今日中だからね!宜しく」
そういうと彼女は席を外した。とんでもない事になった。間違いなく目つけられたよ…。
書類一つ一つみていく。みていく。みていく。
入力。入力。入力。......。
疲れた。入社して以来大量の書類を入力したのは経験がない。
時刻20時。晩飯でも食べにいくかな。席を外そうとしたとき部長室のドアが開き、前原部長が出てきた。
「圭介君どっかいくの?終わったの?今日中に終わらしてよ。」
頭がボーっとして彼女が今言った言葉に反応ができない。睡魔におそわれているのだろうか。軽く前後に動く。
コーヒー飲まなきゃ!部長が目の前で返答を待っているのだろうか?しったこっちゃない。
俺は、そのまま自販機へと直行した。
静まり返った社内、いつもは家に帰ってソファーで、落ち着いた一時を過ごしてる時間。
これを飲んだらまたあの書類に目を通し、パソコンに入力しないといけないのか。
そう思うといやになった。コーヒーを一口飲むと、肌がはしった。相当疲れているのか…?
入社三年目、これまでの事を思い出した。
入社して以来、将来有望な新人として前大熊部長に預けられた。入社時、同僚だった皆とは別の職務を任され、雑用というものは行ってこなかった。残らされた事も何度かはあった。しかし、雑用というものではなく重役への書類書き程度のものだった。皆とは違う扱いをされていい気になっていたのだろうか。