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夜羽球の会
【調教 官能小説】

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撮影-4

「さて……」
 佑香里はすべてを受け入れようと、大の字になってベッドに寝転んでいる。どこにでも好きなように落書きをしてくれという意思表示だ。目を閉じているのは、落書きが完成されてから一気に見た方がどれほど酷く汚されたかを実感できるからだ。
 全身をじっくりと眺めて、タツミは何と書くべきかを思案した。頭に浮かんでくるのは、やはり「性奴隷」や「肉便器」といった言葉で、先輩たちが選んだ言葉と同じものばかりだ。それでは芸がない。どうせならオリジナリティを出したいし、何か佑香里だけに向けた言葉でその精神を凌辱したかった。
 しばらく考えて思いついたのは、豚や牛の肉の種類を部位ごとに描き分けたイラストだった。あれをモチーフにして、佑香里から人間という尊厳を剥奪し、家畜の皮をかぶらせようと思った。
「でも、とりあえず……」
 タツミはペンのキャップを取り外すと、インクの滲むそのペン先を佑香里の頬に押し当てた。
「顔はお前が何者かを示す表札みたいなものだからな。ここにはこう書くしかないよな」
 音を立てずにペンが動く。既に何度も身体に書き込まれた字であったため、目を閉じていてもそれが何か佑香里には分かってしまった。初めてタツミによって書き込まれたワードは、「奴隷」の二文字であった。

 一度書き始めると、案外スラスラと筆が動いた。
 まずは佑香里を家畜に見立てたことを示すべく、その細い首に首輪の絵を描いた。そこからヒモでプレートが吊るされているように四角い枠を描くと、その中には「メス豚」と書き込まれた。
 ここからは部位ごとに名前を書き込んでいく。もちろん、単に「腕」や「腹」なんて書き込んでも面白くないし、まさか「ヒレ」や「ロース」などと書き込むわけにもいかないだろう。ということで、タツミは代わりに身体の各部位にエッチのときの使い道になぞらえた名前を付けていった。
 つんと突き出した唇の下には、矢印でそこを指し示したあとに「ちんぽ穴」と書き込んだ。乳首の周りと胸の周りにぐるっと円を描き、右乳首の部分には「発情アンテナ」、左乳首には「吸い出し口」と記し、乳房には右に「揉み用」、左に「踏み用」と書き込んだ。クリトリスには「お仕置きスイッチ」、尻にはでかでかと「平手打ちサンドバック」、肛門には「小便排泄穴」、割れ目には矢印を3本伸ばして「ちんぽケース」「精液タンク」「便所穴」と書き込む。脚には太ももの前面に「丸太」と書いて、裏面にはタツミの名前を書いておいた。最後に手の平に「自動オナホ」と書く。

 これで名称をつけていく作業は終わった。それでもまだ、腹や背中などに大きな空白が目立つので、そこには各部位の説明を書くことにした。
 腹には乳首、乳房、クリトリスに向けて吹き出しを描き、それぞれに「発情すると固くなってお知らせします。口で吸うとさらに固くなります」、「手を使うときは揉んで握り潰し、足で使うときは強く踏みつけることでリラックスできます」、「言うことをきかないときはこのスイッチを押したり摘まんだり引っ張ったりすることで、お仕置きをして言うことをきかすことができます」と書き入れた。
 背中には尻に吹き出しをつけて「お好きなだけ平手打ちをしてストレスの発散に使えます」、肛門の方には「小便はこの穴に排泄することができます。精液も可」とした。
 太ももの内側の面には「ちんぽを収めるケースとしても、精液を溜めておくタンクとしても、また小便や精液を排泄する便所としても使えます」と書いてあそこに吹き出しをつけ、ふくらはぎには「様々な用途に利用できます」として太ももの説明を書いた。
 腕には「性欲処理用の全自動オナホールです」と書いて、手の平に吹き出しを伸ばした。

「できた……」
 書き終えてみると、もう全身にびっしり字が書きこまれていた。佑香里は目を開くと、自分の携帯を取り出してタツミに差し出した。
「撮影お願いします……」
 電源をつける。ロックはかけていないようだ。スタート画面のカメラのアイコンを指で選択すると、画面がカメラモードに切り替わった。一度電気をつけて字がしっかり見えるようにしてから、画面の中に佑香里の全身を入れ込んで、タツミはシャッターを押した。
 計3枚。顔だけの写真と、前後の両方から写した写真。
 それだけ撮り終えると、再び電気を小さくして携帯を佑香里に返した。

「ありがとうございます……」
 佑香里は恭しく携帯を受け取ると、わくわくとした表情でアルバムフォルダを選択して写真を開いた。
 携帯の光で佑香里の顔だけが明るく見えている。その顔がみるみる真っ赤に染まっていく。耳の先まで赤くなったかと思うと、少し目が潤んだように見えた。
「どうだ? いい出来だろう」
 タツミはその顔を見てつぶやいた。
 瞬間、佑香里はすっとタツミの方に向き直った。何かを言おうとしているのだろうが、何と言えばいいのか分からないといった風に少し口をもごもごさせた。そして、さらに目に潤いを増すと、小さい声でつぶやいた。
「ひ、ひどいです……。これ、本当にメス豚じゃないですか……」
 このときの表情も口がふにゃふにゃとしていて、笑っているのか怒っているのかよく分からなかった。
「こんなの……恥ずかしすぎます。奴隷とか便所とかじゃなくて、なんだか本当に道具として扱われた気がします……」
「なんだ、不満か?」
「……恥ずかしいです」
 タツミには佑香里の気持ちがよく分かった。恥ずかしいという気持ちは本当だろう。でも、それ以上に佑香里は興奮しているに違いない。でも、そう言ってしまうことがこの期に及んで恥じ入られるほどに恥ずかしいのだろう。
 もちろん、その心情を嗅ぎとって優しくするほどタツミは甘くはない。佑香里にとってもそれは望むところではないと思う。だから、あえてタツミはこう言うことにした。


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