詐欺-6
困り果てた竜彦だったがどちらにしても朋美という女は今夜一晩自分についていなければならない様子だ。抱くつもりはないが、取り敢えずお持ち帰りする。
アパートに着き朋美を中へ通すとテーブルの前に正座して座り下を向いていた。
「楽にしてよ。何もしなくていいからさ。寝て明日帰れば?」
「で、でも…」
「ヤッた事にすりゃいいじゃん。別に俺にヤッたかどうかの確認なんてしてこないだろ。」
「…」
随分とあの男に飼い慣らされてしまっているようだ。何がなんでも抱かれなきゃ困るみたいな顔をしていた。
「あのさー、俺ね、莫大な借金抱えさせられてこれからの事を考えるととてもじゃないけどやる気にならないんだよね。分かるかな?」
溜息をつきながら気怠そうに言った。何も言わず俯いている朋美。
「あーあ、ちゃんと利用規約読んでから登録すりゃ良かったよ。マジで失敗したわ〜!」
ベッドに倒れ込みながらそう嘆いた。すると俯いていた朋美が立ち上がり竜彦を見つめた。
「あなたももしかして相手を怒らせて大事なお客さんをなくしたから損害賠償しろと言われて消費者金融からお金を借りらされたんですか?」
朋美の言葉にピクリと反応する。
「あなたも…?もって、君も?」
朋美はコクリと頷いた。どうやら相手が男か女かの違いで朋美とは同じような事態に巻き込まれたらしい。
「何か怪しいな…。」
あのサイトに疑いを持ち始めた。
「私は、初めてのお客さんの時、物凄くいい思いをして大金貰って、これは稼げるって思ったんです。でも2回目に、いきなり途中から相手の男の人が怒り始めて帰っちゃったんです。そうしたら電話がかかってきて、大事なお客さんをどうしてくれるんだ、損害賠償として一千万円払えって言われて…。」
「俺も…同じだよ…。」
いよいよ怪しくなってきた。手口が一緒だ。偶然にも程がある。竜彦はボソッと言った。
「はめられたんだな、きっと…」
そう思うと怒りが込み上げてきた。
「ネットでこういう詐欺があるかどうか調べてみようか…。」
竜彦はパソコンを立ち上げた。